.国際  投稿日:2017/4/27

朝日新聞は今もミサイル防衛に反対?

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古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)

「古森義久の内外透視」

【まとめ】

・北朝鮮の脅威が高まる中、ミサイル防衛に期待高まる。

・朝日新聞は終始一貫してミサイル防衛反対の論陣張ってきた。

・今でも同じ主張なのか問いたい。

 

北朝鮮情勢がさらに険悪となった。軍事衝突の危険までが語られる。日本列島はいまや北朝鮮によるミサイル攻撃を受ける危険も生じたとあって、政府は国民にミサイル攻撃から緊急避難する警告までを発するようになった。そんなとき日本の自衛に少しでも資するとみられるのがミサイル防衛である。

外部から飛来するミサイルを上空あるいは中空で撃ち落とすというミサイル防衛にはいまや日本中の期待が高まったといえよう。日本に向けて飛んでくる複数の北朝鮮ミサイルをたとえ1基でも破壊できれば、日本国民の被害はそれだけ減るというのはごく自然な認識だろう。

ところが日本国民を守る、そのミサイル防衛に一貫して反対してきたのが朝日新聞である。日本政府がアメリカとの共同のミサイル防衛構想の実行を決めるずっと以前からこの防衛構想に対してさまざまな理由をあげて反対の論陣をはってきた。その理由の一つには「中国が反対するから」という主張があった。実際に朝日新聞の日米ミサイル防衛構想への反対はまさに中国政府の主張と軌を一にしてきた。

北朝鮮のミサイル攻撃の可能性が現実味を帯び、日本国民のミサイル防衛への期待が高まったいま、朝日新聞はこれまでの反対をさらに続けるのだろうか。

朝日新聞のミサイル防衛への反対の実例は2016年5月16日朝刊の記事だった。北朝鮮の弾道ミサイルの脅威の増大に備えて日米両国がその防御の合同演習をするという計画に韓国も加わることになったという展開についての解説記事だった。1面掲載の短い報道記事と7面掲載のやや長い解説記事とがセットになっていた。

二つの記事が最大比重をかけるのは「中国の反発」だった。1面の記事でも前文の最後は「中国は反発しそうだ」と警告していた。だからミサイル防衛は止めたほうがよい、というのだ。そもそも日米韓3国は北朝鮮の露骨な弾道ミサイルの発射やさらなる開発、強化があって初めて、やむなく防衛の措置を取るのである。そのことに中国が反発するのはおかしな話だった。

7面の解説記事でも「北朝鮮の脅威に対抗」という主見出しとともに、「中国の反発必至」という副見出しで改めて中国の反応を強調していた。明らかに「この合同演習は中国が反対するから止めるべきだ」という主張を打ち出した記事だった。

朝日新聞の日本のミサイル防衛への反対は長い歴史を有する。2001年9月14日の朝刊社説は日米共同のミサイル防衛構想に正面から反対していた。

この社説は「前のめりはよくない」という見出しだった。日本がアメリカと共同でミサイル防衛を築くのは「前のめり」の行動だというのだ。「防衛長官のこの前のめりの姿勢は危なっかしい」とも書いていた。「前のめり」という粗雑で情緒的な表現で、自分たちの気にいらない対象を切り捨てる語法だった。

この朝日新聞社説は次のような記述で結ばれていた。

「ミサイルごっこの『仮想現実』から一刻も早く目覚めるべきだ」

北朝鮮のミサイルの危険性を「ごっこ」と断じるのだ。「ごっこ」といえば、子供が大人のふりをする遊戯のような非現実性を指す。つまりは「仮想」だというのだ。北朝鮮の弾道ミサイルのアメリカ、韓国、そして日本にとっての危険が「ミサイルごっこ」であり、「仮想現実」だと断じていたのが朝日新聞なのである。

朝日新聞はいまも同じ主張をするのか。言論の責任を問いたいところだ。

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この記事を書いた人
古森義久ジャーナリスト

産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授。1963年慶應大学卒、ワシントン大学留学、毎日新聞社会部、政治部、ベトナム、ワシントン両特派員、米国カーネギー国際平和財団上級研究員、産経新聞中国総局長、ワシントン支局長などを歴任。ベトナム報道でボーン国際記者賞、ライシャワー核持込発言報道で日本新聞協会賞、日米関係など報道で日本記者クラブ賞、著書「ベトナム報道1300日」で講談社ノンフィクション賞をそれぞれ受賞。著書は「危うし!日本の命運」「中・韓『反日ロビー』の実像」「トランプは中国の膨張を許さない!」など多数。

古森義久

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