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.政治  投稿日:2018/1/4

問われる目標達成度・レガシーの在り方【2018:都政】


西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)

「西村健の地方自治ウォッチング」

【まとめ】

・2月受動喫煙防止条例案、10月豊洲市場への移転がターニングポイント。

・公約や数値目標の達成度が厳しく問われる年になる。

・五輪のレガシーをどう作り上げるか、力量が問われる。

 

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されず、写真説明と出典のみ記されていることがあります。その場合はhttp://japan-indepth.jp/?p=37814でお読みください。】

 

混迷か、それとも収束か、はたまた新局面か。

予測が難しい小池都政。小池氏が新たに一手を仕掛けるか、それとも雲散霧消するのかといったところに皆の関心があるだろう、いや関心すら失われてしまうかもしれない。

都議会公明党がどう出るか、で都政は変わってくる。連携解消の結論先送りとの報道もあったが、是々非々の対応というところだろう。受動喫煙防止条例案が議会提出される2月、豊洲市場への移転の10月といったところがポイントになる。

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▲写真 議員報酬 20%削減条例を全会一致で可決 した都議会第1回定例会 2017年2月2日 出典:公明党

都庁の皆さんも頑張っているし、発信力など、トップが変わったことの成果がじわじわ効いている。都政改革も結果を残しつつある。

 

■ 恒例「東京の兄」振り返り

 毎年恒例、自称「東京の兄」による流行語での29年総括をしよう。

1月 「希望の塾」開催。「インスタ映え」を狙う塾生たち。

2月 千代田区長選挙で勝利、小池人気にメディアも忖度。自民党の方々の睡眠負債は増えるばかり。

7月 都民ファーストの会、都議会議員選挙で圧勝。「バブリ~」世代の政治未経験者たちも続々当選。

9月 待機児童の解消のためにどれくらい追加対策が必要だと思っているの?35億。

9月 希望の党を立ち上げ。「都政はしょせん国政へのステップか」と都民アラートが鳴る。

10月 衆議院選挙、「ちがうだろー」との都民の心の叫び、排除された側の勝利。

10月 会計管理局長の猪熊純子氏が22年ぶりに女性副知事に。Me tooと思う職員は増えるか。「祈ります」。

 

■ チェックされる都政

さて冗談はさておき、平成30年を占ってみよう。政局に振り回された感のある前年と違い、全体的に静かな1年になるだろう。主な指標と期限と水準は以下。

◇ 電柱新設の禁止(道路法第37条の適用):2017年度、都道全線(約 2,200km)を指定

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▲写真 東京都無電柱化整備事例 左)墨田区業平浅草通り 右)八王子市子安町野猿街道 出典:東京都建設局道路管理部安全施設課

 

◇ 非常時映像伝送システムの拡充(非常時に鉄道事業者の防犯カメラ映像を警視庁に伝送):2018年度、新たに3鉄道事業者と運用開始

 *「都民ファーストでつくる新しい東京~2020年に向けた実行プラン」より

◇ 東京駅周辺における景観整備(行幸通り):2018年度、完成

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▲写真 東京駅前行幸通り 出典:東京都建設局

◇ 景観形成特別地区の追加指定等:2017年度、11地区

◇ 「英語村(仮称)」の設置:2018年度、開設

◇ 保育サービス利用児童数:2017年度末、4万人分増(2014年4月 234,911人)

◇ 児童養護施設の専門機能強化:2017年度末、全民間児童養護施設53か所(2013年度末 39か所)

◇ 地域居住の場(グループホーム)の整備:2017年度末、2,000人増

◇ がん検診受診率(胃がん、肺がん、大腸がん、子宮頸がん、乳がん):2017年度末、50%

◇ 通学路に防犯カメラを設置:2018年度、公立小学校全1,296校

 *「東京都総合戦略」より

小池都知事の公約も同様。時差Biz、国際金融都市・東京構想は進んでいる。「国際金融都市・東京構想の全貌」(銀行研修社)によると内閣府との間で国家戦略特区税制の仕組みについて交渉をしているそうだが、それ以外はどうなのか。公約達成度は厳密に問われてくるだろう。

 

■ 五輪までのロードマップ、レガシーをどう作る?

東京五輪が何のための五輪かを明確にしないと、レガシーとはならない。

そもそも現代オリンピックの精神

「1.オリンピズムは人生哲学であり、肉体と意志と知性の資質を高めて融合させた、均衡のとれた総体としての人間を目指すものである。スポーツを文化や教育と融合させるオリンピズムが求めるものは、努力のうちに見出される喜び、よい手本となる教育的価値、普遍的・基本的・倫理的諸原則の尊重などに基づいた生き方の創造である。

2.オリンピズムの目標は、スポーツを人間の調和のとれた発達に役立てることにある。その目的は、人間の尊厳保持に重きを置く、平和な社会を推進することにある。」

ということだ。

厳しい言い方だが、今の五輪・パラリンピックは「結果オーライ」「関連業者のビジネスでの儲け」「一部のスポーツ好き・盛り上がりたい人用のイベント」でしかない。スポーツがどういった意味を持つのか、その意味を問わない限り、レガシー=ハコモノとなり、記憶とセンチメンタルな思い出しか残らない。

小池都知事は差別をなくすことを目的とした条例を検討中なので、そこは期待したい。サスティナビリティの面では、オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の「持続可能性に配慮した水産物調達基準発表されたものの、ロンドン、リオ大会でのMSC/ASC認証が採用されなかったことがNPO業界から批判を受けた。

今後連載で取り上げる予定だが、課題が多い。オリンピック憲章では、「環境」を「スポーツ」「文化」とならぶ三本柱としており、環境問題に対し責任を持つことと、有益なレガシーは引き継ぐことが謳われているが、これにどう対応するのかが問われる。

 

■ ウーマンラッシュアワーさんの漫才形式で締め

最後に、「THE MANZAI 2017」(12月17日にフジテレビ系で放送)で話題沸騰のウーマンラッシュアワーさん(よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属の村本大輔さん、中川パラダイスさん)の漫才形式で締めます(完全なるパクリです、無許可ですみません)。

A:東京都の方ですよね。住ませてください。

B:東京の人間だ。そんなに簡単には東京にはすませない。東京に愛がないとダメだ。駄目。駄目。

A:お願いします。お願いします。

B:現在、東京でニュースになっているのは?

A:豊洲問題。

B:みんなが話題にするのは?

A:小池百合ちゃんの言動。

B:おっさんたちの気持ちは?

A:女性上司に排除されたくない

B:その女上司による政治は?

A:劇場型で地域の足元を見ていない

B:都心の景観は?

A:タワマンとケータイ見ながら歩く人ばかり。

B:ネットのコミュニケーションは?

A:駄目だしと炎上ばかり

B:東京五輪は?

A:復興五輪になっていない

B:都庁の女性管理職の比率は?

A:19%

B:都内民間企業の障がい者雇用率は?

A:1.84%

A:ふるさと納税で

B:税金がへると大騒ぎ

A:中央省庁の移転は

B:反対する

B:本当にするべきなのは?

A:日本社会全体を考えること。

B:ようこそ、東京都へ!!!

A:どうもありがとうございました。

B:お前たちのことだ!(退室しながら)

トップ画像:小池百合子都知事 出典 公益社団法人 日本記者クラブ


この記事を書いた人
西村健人材育成コンサルタント/未来学者

経営コンサルタント/政策アナリスト/社会起業家


NPO法人日本公共利益研究所(JIPII:ジピー)代表、株式会社ターンアラウンド研究所代表取締役社長。


慶應義塾大学院修了後、アクセンチュア株式会社入社。その後、株式会社日本能率協会コンサルティング(JMAC)にて地方自治体の行財政改革、行政評価や人事評価の導入・運用、業務改善を支援。独立後、企業の組織改革、人的資本、人事評価、SDGs、新規事業企画の支援を進めている。


専門は、公共政策、人事評価やリーダーシップ、SDGs。

西村健

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