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IT/メディア  投稿日:2014/3/19

[熊坂仁美]<小保方晴子と佐村河内守の共通点>“ストーリーづくり・キャラづくり”のうまさ


熊坂仁美(ソーシャルメディアプロデューサー)

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いま世間を賑わせている小保方晴子氏のSTAP細胞ねつ造疑惑と佐村河内守氏のゴーストライター問題。奇しくも同じ時期に浮上したこの二つの疑惑事件の共通点を指摘する人は多い。

私の目から見ると、このお二方の共通点は、「ストーリーづくり」や「キャラクターづくり」が非常にうまい人たちだということだ。人はみな面白いストーリーが大好きで、その中に登場するキャラクターを応援し、感情移入をしたいものだ。 それも映画やドラマのフィクションの世界ではなく、ノンフィクション、つまり現実世界でそういうキャラを求めている。 新キャラが現れたら、メディアはこぞって取り上げる。ソーシャルでバズる。リアルタイムに展開する新しいストーリーは最高のコンテンツなのだ。

疑惑浮上前、小保方氏に関する報道が、研究内容そっちのけで「割烹着」や「リケジョ」のライフスタイルにフォーカスされたのも、新星のように現れた愛されキャラ誕生をみな喜んでいたからだ。特に日本人は、そういうストーリーが大好きだ。

それにしても、小保方氏のキャラ作りやストーリー作りは見事だ。特に、「リケジョ」というネーミング、若い女性学者と割烹着というギャップ、それも祖母のストーリーをかぶせるところなど、メディア受けするストーリー作りに熟知している人物が陰にいたのではないだろうか。 (再生医学で日本を代表する笹井芳樹理研副センター長という方が思いついたと報道されているが、それが本当だとしたら、笹井氏は医学博士とは思えないほどPRやマーケティングの知識とセンスのある方だと思う)

このまま疑惑が持ち上がらなかったら、小保方氏は今年の紅白歌合戦の審査員に出るぐらいの国民的人気と信頼を得ていたに違いない。 マスメディアに加えてソーシャルメディアが加わったことで、よりたくさんの人が日常的に楽しむストーリーをほしがり、刺激を求めるようになった。

これからますます面白いストーリーや応援したいキャラが求められていくだろう。 コンテンツを発信する人や企業にとって、ストーリー作りはこれから必要なスキルであり、どんどんエスカレートしていくのかもしれない。

しかし、少々の脚色は許せても、大前提が嘘であったとしたら、ノンフィクションのストーリーは成り立たない。 STAP細胞の発表が真実でさえあれば、割烹着のくだりは「盛り」「演出」で済んだだろう。 佐村河内氏も、耳が不自由ということが事実であれば、ゴーストライターを使ったとしてもここまでバッシングはされなかっただろう。

どんなに注目がほしくても、どんなに話題を作りたくても、 本物であるという前提をなくしたストーリー作りは絶対にしてはいけないということを、この二つの事例が教えてくれている。

 

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