今、アジアで上手く行きそうなビジネスって何ですか?[フィリピン・セブ島で活躍する日本人]
佐藤ひろこ(セブ島在住10年・起業8年目)
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セブ在住10年、セブ島の情報業で起業して7年、アジアでビジネスを始めたいからという相談は、一日に多い日だと3、4件受けている。起業のサポートやコンサルをさせてもらっているが、言うまでもなく、今アジアへのビジネス進出が熱い。特に3.11以降、ASEANの端っこのセブ島にいても、その波をひしひしと感じる。
まだまだ日本人は、アジア、または東南アジアを一くくりにしがちだ。しかし、視察など実際来た人が皆感じるように、ASEAN各国の事情はかなり違う。発展の度合いも、法律も、国民性も、宗教も全然違う。私は、セブ島に特化して仕事をしてきたため、相談の多くは、ASEANという土地の中での「フィリピン、セブ」としての特徴や位置づけを意識して話をすることが多いが、東南アジア全体でみても、相対的に日本人優位なビジネスというのが、存在すると思う。
その代表的なものが、飲食業だ。日本人の「食」に対するクオリティーの高さは今更言うまでもないが、人口予測を見たときに絶対的に胃袋が減少していく日本にとどまるのか、胃袋がまだまだ大きくなるアジアで勝負したほうがいいのか。答えは歴然としている。フィリピンで言えば、マニラでも昨年からラーメンや居酒屋など大手フランチャイズ店が本格進出を始めている。
もうひとつ、まだまだ大手が進出していなくて、アジアでアドバンテージが高いと思うのが「美容業界」だ。アジアに置ける美容に関しての「JAPANブランド力」は間違いなく一番高い。 美白、老けない(日本人は年をとってもいつまでも若い)、痩身(子どもを産んでもスタイルを保つ)、ネイル、メイク、ヘアスタイル、ファッションなど、同じアジア人である(体形などが似ている)ことから憧れが一番高いのだと思われる。美容業界どの分野をとっても、日本人の技術の高さは世界でも折り紙つきだが、日本でのサロン数に比べて、海外に本格的に進出する人がまだまだ少ないと感じる。
日本ではコンビニが約5万店舗なのに対して、美容院は23万店舗と、なんと4倍以上。これから開業しようとする人には厳しい現実が待っている。海外に長くいると、日本人の美意識はもう職人的に高いと感じる。大きな声では言えないが、日本でそこそこの技術でも、海外ではびっくりされるレベルなことも多いだろう。
だとすれば、高い「JAPANブランド」を引っ提げて海外進出することは、これから日本で起業するよりもずっと勝算がありそうだ。今、アジア進出する人のほとんどは男性に偏っているが、美容業界は女性経営者が多い分野の一つ。ぜひ、海外で活躍する女性も増えてほしいものである。
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【今回の執筆者紹介・佐藤ひろこ】
1978年、堺市生まれ。 2004年、セブ島日系リゾートでスパマネージャーとして働く。 2007年、ウェブとマガジンを使った、セブ島唯一の総合情報媒体「セブポット」Pinaka Pot Distribution Inc.を創業。 2014年、セブポットを運営するメディア事業「Infopot.Inc」、ビジネスコンサル、会社設立、賃貸・管理不動産、ビザサポートなどの直接サービスを行う「The Hatena Solutions Inc.」、インベストメント・ホールディング会社「Cou.A Investment Holding Inc.」の三社に分社化。情報業で培った人脈と最新の情報をもって、多くの日本人の起業進出をサポート。起業家としてだけではなく、2児の母親として、海外移住・親子移住などの相談サポートも行っている。日本でも定期的にセミナーなども開催。