[朴斗鎮]<飯島勲内閣官房参与は北朝鮮の代弁者?>なぜ朝鮮総連本部ビルの売却に異議を唱える

飯島勲・内閣官房参与は4月11日夜、BSフジのプライムニュースで、朝鮮総連本部会館問題での東京地裁の再入札売却決定について、「おかしい」と異議を唱え、「この問題が解決しなかったら拉致も何も全部終わり」と述べた。
内閣官房参与が司法の判断を批判するのは異例中の異例である。
そればかりか「政府が買ってでも対応しなければ前に進まない」として、政府が朝鮮総連本部の土地と建物を購入することで、日朝協議を進展させるべきという考えも示した(TBS2014年4月12日01:33)。
飯島参与の発言は、これまでも多くの人を惑わしてきた。
昨年7月5日のプライムニュースでは「近い時期には横並び一線で全部解決する。動きだすのは遅くとも参議院選の後」などと自信たっぷりに語り、「国連総会(9月下旬)の前までには完全に見えてくる」と預言者のごとく言い切り、「拉致問題」の解決を願う被害者家族や多くの国民に過度な期待感を持たせた。
しかし彼のこの「予言」はものの見事に外れた。恥を知るならばこのことの釈明から行なうべきだが、一言の釈明もないまま、またもや今回の発言である。
前回は「予想」であったからその責任はすべて自身が被ればいいが、今回は司法判断に対する政府関係者の批判だ。前回とはその重みが違う。
飯島氏は一体どこの国の政府関係者なのだろうか。発言を見る限り北朝鮮の代弁者としか思えない。いや北朝鮮当局者以上と言ってもよいだろう。飯島氏が一民間人であれば、どの政府を支持しようが何を発言しようが自己責任で済むのだが、彼はれっきとした日本国の内閣官房参与である。その職責は重くないかもしれないが、政府関係者であることには間違いない。彼の言動は日本政府にも影響を及ぼす。
飯島氏は自身の言動に慎重であるべきだ。そうでなければ「拉致問題」にかこつけて何かしらの「利権」を狙っているのではとの誤解を受けることとなる。
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【プロフィール】
1941年大阪市生まれ。1966年朝鮮大学校政治経済学部卒業。朝鮮問題研究所所員を経て1968年より1975年まで朝鮮大学校政治経済学部教員。その後(株)ソフトバンクを経て、経営コンサルタントとなり、2006年から現職。デイリーNK顧問。朝鮮半島問題、在日朝鮮人問題を研究。テレビ、新聞、雑誌で言論活動。主な著書に、「北朝鮮 その世襲的個人崇拝思想−キム・イルソンチュチェ思想の歴史と真実」「朝鮮総連 その虚像と実像」など。その他論考多数。