韓国における中国人への特恵と選挙関与

朴斗鎮(コリア国際研究所所長)
【まとめ】
・憲法裁判所、尹大統領側の不正選挙関与疑惑に関する中国人名簿の事実照会を採択。
・韓国在住中国人の特恵の多さは、様々な不正選挙の為と疑いたくなるほど。
・高まる不正選挙解明の世論に対し、選挙管理委員会は「不正選挙疑惑提起処罰法」立法推進したも挫折の結果に。
憲法裁判所は1月16日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領弾劾事件の2回目の弁論期日で、尹大統領側が不正選挙関与疑惑に関連して、中央選挙管理委員会(選管委)に申請した京畿道水原市の選挙研修院に滞在した中国人の名簿の事実照会を採択した。事実照会とは、公共機関に保管されている文書を、謄本・写本を問わず要請するもの。この資料には、2020年の総選挙と新型コロナウイルス感染症の期間に選挙研修院に滞在した中国籍事務員の名簿が含まれているという。
尹大統領は逮捕された後、フェイスブックに公開した手紙で「不正選挙の証拠は非常に多い」とし「偽物の投票用紙が見つかり、選管のでたらめなシステムも全て明らかになった」と記し、弾劾裁判2回目の弁論期日では10項目の疑惑も提示したが、その審判はほとんど却下され、この中国人名簿の事実照会だけが採択された。
■「中国人の特恵と選挙関与」の実態を語るシン・インギュン氏
しかし、韓国では永住中国人が選挙事務に関与している事実が有り、多くの人が疑念をいだいている。韓国在住中国人への特恵と「選挙事務関与」と関係して、多くの問い合わせがあったとして、シン・インギュン氏(youtube「シン・インギュン国防TV」)は、その実態と選挙への関与について次のように語った。
「韓国に住む中国人に対する特恵が多いとの問いかけがあまりにも多いので調査をしてみました。韓国の現実は驚くべきものでした。調査してみたら、驚くなかれ韓国に居住する外国人永住者の半数は中国人でした。
彼ら中国人が享受している恩恵について見ると、中国人は韓国に来て何もしないで、4人家族基準で月に195万ウォンを受け取っています。そして彼らの子女が学校に行けば高校生基準で60万ウォンを受け取っています。彼らが銀行から借り入れを起こす時には、韓国国民よりも0.9%も低い金利で借りることができます。0.9%も低く借り入れができれば経済的にどんなに有利ですか?また彼らが住まいを得ようとすれば、住宅供給公社から特別供給で別途供給されます。その賃貸保証金も非常に低い利子で提供しています。
そして我々が怒りを覚えるのは、韓国人が、子どもや孫を学校に通わせ大学にまで行かせるために血の滲む努力をしている中、中国人は、外国人特別入学との入学枠でどのような大学にでも行けるということです。ソウル大、延世大、高麗大。KAIST、成均館大、西江大、漢陽大など韓国の有名大学のどの科にでも希望すれば入ることができるのです。
韓国人は、中国人よりも厳しい条件をつけられているために、遅れを取ってしまいます。競争の公平な自由が与えられずに遅れを取る状況となっているのです。これは変えなければなりません。
そればかりか、もっと嘆かわしいことが起こっています。地方自治体選挙に中国人永住権者たちに投票権を与えて、開票業務に従事させているということです。開票事務員には一人当たり18万5千ウォンが支給されます。なぜ中国人を選挙業務に採用するのですか?なぜすべて韓国人採用としないのですか?
選挙事務を行える韓国人が大勢いるのに、選挙管理委員会は、わざわざ中国人を採用しています。様々な不正選挙のためではないかと疑いたくなります。
韓国人が米国に移民すれば、市民権を得なければ投票権を得ることができません。なのに、韓国では中国人永住者に投票権を与えているだけでなく開票業務にまで従事させています。この状態を誰が作ったのでしょうか?国会にいる親中国派の議員たちが作りました」
■選管委、「不正選挙疑惑提起処罰法」立法推進挫折
いま多くの韓国民が不正選挙疑惑を提起している。しかし選挙管理委員会は憲法機関を盾にして監査を拒否し、裁判所は令状を出さない。国民が不正選挙疑惑を裁判所に訴えてもすべて棄却されるか敗訴となる。
その背景には裁判所の判事が選挙管理委員長を務めるという構図がある。中央選挙管理委員会の委員長は大法院(最高裁判所)判事が努め、地方の選挙管理委員会委員長は地方裁判所の判事が担っている。裁判所と選挙管理委員会は、ある意味利権(例えば選挙管理委員会での不正縁故雇用)で結びついているともいえる。
しかし不正選挙解明の世論は日ごとに高まっている。追い詰められた中央選挙管理委員会は、事前投票や投票票に対する「不正選挙」を主張した者に対して、懲役最大10年、罰金最大3千万ウォンで処罰する「不正選挙疑惑提起処罰法」を立法しようとした。だが、あまりにも露骨な反憲法的言論弾圧なので、猛烈な反発に遭遇して頓挫した。
選管委は昨年12月23日午後、ノ・テアク中央線管委員長主宰で全体会議を開き、「選挙に関する虚偽事実流布行為関連制度改善方案を議論したが、結論的に公職選挙法改正は保留することに決めた」と明らかにした。
一方、不正選挙の訴えを却下し続ける韓国裁判所への信頼度も急低下している。そこに「共に民主党」代表・李在明氏に対する首をかしげたくなる「無罪判決」、そして尹錫悦大統領逮捕拘束での疑惑に満ちた「令状発付」、また尹大統領弾劾裁判での憲法裁判所の不公平な対応などが重なることによって、不信度数は急上昇しているのだ。最近の世論調査では、国民の47%が憲法裁判所を信頼しない(信頼45%)とする驚くべき結果が発表された。
(前回記事「尹錫悦大統領側が提起した不正選挙疑惑」)
トップ写真:尹大統領 韓国ソウルの憲法裁判所(2025年1月23日)出典:Jeon Heon-Kyun – Pool/Getty Images
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この記事を書いた人
朴斗鎮コリア国際研究所 所長
1941年大阪市生まれ。1966年朝鮮大学校政治経済学部卒業。朝鮮問題研究所所員を経て1968年より1975年まで朝鮮大学校政治経済学部教員。その後(株)ソフトバンクを経て、経営コンサルタントとなり、2006年から現職。デイリーNK顧問。朝鮮半島問題、在日朝鮮人問題を研究。テレビ、新聞、雑誌で言論活動。著書に『揺れる北朝鮮 金正恩のゆくえ』(花伝社)、「金正恩ー恐怖と不条理の統

