[相川梨絵]<日本なみに首相が交代するバヌアツ>今度の首相はどう?「またすぐ変わるよ。誰がなっても同じ」
相川梨絵(フリーアナウンサー/バヌアツ共和国親善大使)
バヌアツの新聞に安倍首相の顔写真が載っているではないですか!?
今年7月に安倍首相がニュージランドとパプアニューギニアを訪問する事が決定したという記事でした。
実は、バヌアツにも来るのでは?という噂が在バヌアツ邦人の間では密かに出回っていたのですが、結局来ないようですね。んー、残念。
現在、バヌアツでは、日本のODAによる中央病院の増築や国際埠頭の建設など、ジャパンパワーが大活躍しているので、ぜひバヌアツにも来てもらいたかったです。
さて、首相つながりで、もう1つニュースをお伝えします。5月中旬、バヌアツの首相モアナ・カルカッサスが不信任案を出され、退任しました。
彼の任期は1年1ヶ月でした。バヌアツでは、有名人も市民ととても距離が近く、私もモアナと何度かお話したことがあります。
彼の子供が産まれた時はお見舞いに?首相官邸にお邪魔させてもらいました。
彼は、ご覧のように、外見がかっこいいのです。本人も、「女性の票が多いのだよ」と冗談まじりでおっしゃっていました。
お顔からもわかるように純粋なバヌアツ人ではないので、今までの古いバヌアツの体制を変えてくれるかも、と期待する人も数多くいました。
実際、外交にも強く、新しい空港の建設の誘致や首都以外の離島の道路の舗装、サント島の港の建設などを諸外国と共に進めました。
また、バヌアツの首相としては、初めて、アメリカの大統領との会談を実現させました。モアナ邸には、オバマ大統領と笑顔で並ぶ写真が飾られていました。そんな彼を新聞は、「political coup」すなわち「政治的に大成功した」と褒めたたえました。そんな彼がなぜ、失脚したか。それは、日本同様、政権争いでした。
バヌアツは、日本の様に、しょっちゅう首相が変わります。4年の任期を全うした人は数えるくらいしかいません。そして、今回新たに首相の座についたのは、ジョー・ナツマン元外相です。タンナ島という火山の島出身で、この島からは初めての首相です。
バヌアツ人の友人たちに、今度の首相をどう思うか聞いてみました。すると、「どうせ、またすぐ変わるよ。誰がなっても同じだよ。」と。なんとも聞き覚えがあるフレーズ。そう、ここも日本と同じなのです。
タンナ島出身の男性はけんかっ早くて有名。タンナ出身と聞くだけで、人々はちょっと構えてしまうくらいです。そんな島の出身と聞くと、ちょっと不安を覚えますが、しかし先入観は禁物。ナツマン新首相は任期を全うして、バヌアツをどう素晴らしい国にしていくのか?彼の今後をしっかりと見守ろうと思います。
【あわせて読みたい】
- <ココナッツ燃料の開発を!>ガソリンがなくて消防車が出動できないバヌアツの悲願(相川梨絵・フリーアナウンサー/バヌアツ共和国親善大使)
- 新聞にソチ五輪のことは一行も載っていない国でも、世界で一番幸せなバヌアツ共和国(相川梨絵・フリーアナウンサー/バヌアツ共和国親善大使)
- <安倍首相が仕掛ける法人税減税>党内の反対を押し切るための“外圧頼み”政治は成功するか?(山田厚俊・ジャーナリスト)
- 内部からの安倍晋三首相“降ろし”が始まるか?〜存在感の無い野党より、不満を持つ与党からの反撃が今年の政局の焦点(山田厚俊・ジャーナリスト)
- インドを嫌いなんて言わせない!(3)世界最大の総選挙真っ最中!インドから日本が学ぶものとは?(みやけよう・同志社大学|インド留学中)