[山田厚俊]内部からの安倍晋三首相“降ろし”が始まるか?〜存在感の無い野党より、不満を持つ与党からの反撃が今年の政局の焦点

山田厚俊(ジャーナリスト)
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暴走発言の波紋の広がりは、やがて始まる“安倍降ろし”の序章なのかーー。
2月17日、公明党の井上義久幹事長は政府・与党協議会で「首相の発言は慎重にお願いしたい」と政府に要請。安倍晋三首相が集団的自衛権の行使容認を巡る憲法解釈で「政府の最高責任者は私だ」とした国会答弁を念頭にしたものだ。
自民党内でも13日、村上誠一郎元行政改革担当相が、
「選挙で勝てば、憲法を拡大解釈できると理解できる。その時々の政権が解釈を変更できることになる」(村上誠一郎元行政改革担当相)
と批判したのを皮切りに、
「正面から受け止めるべきだ」(野田毅税調会長)
「拡大解釈を自由にやるなら憲法改正は必要ないといわれてしまう」(船田元憲法改正推進本部長)
などの声が相次いだ。自民党中堅衆院議員は、今後の政権運営に危機感を露わにする。
「タカ派路線まっしぐらと言われる安倍首相は、渡辺喜美代表のみんなの党や旧太陽の党のメンバーを中心にした日本維新の会との連携も視野に入れ、強気の発言をしていますが、足下の党内から“安倍降ろし”が始まる可能性があります」(自民党中堅衆院議員)
これまで高支持率を誇っていた安倍内閣に対し、「物言えば唇寒しで、何も言えなかった」(自民党ベテラン衆院議員)状態が続いていたが、その不満のマグマが沸騰し、爆発寸前だというのだ。
自民党関係者はこう解説する。
「公明党にとっても、これ以上右寄りになると連立解消に発展しかねない。そんななか、党内でリベラル穏健勢力が隠密裏に連携を取り合っています。4月の消費増税で支持率が低下すれば、そうした勢力が中心となり、“安倍降ろし”に発展する可能性があります。4月にはオバマ大統領の来日があります。米国との個人ネットワークを持つ議員が情報収集し、中・韓にパイプがあるグループも対日外交の修復とともに情報収集を盛んにしています。こうした外交ネットワークを通じ、世論形成を図りながら、“安倍降ろし”は5月になるとの声も囁かれています」(自民党関係者)
存在感の無い野党より、不満を持つ与党からの反撃が今年の政局の焦点となりそうだ。
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