[山田厚俊]<地方議員のお粗末さ>低俗ヤジ、不透明な公金支出…メディアは「第2、第3の野々村」探しを開始した
山田厚俊(ジャーナリスト)
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東京都議会で晩婚化対策を質問した塩村文夏都議会議員が女性蔑視のヤジを浴びた問題を皮切りに、続出する“地方議員のお粗末さ加減”。「地方の議員なんてこんなものか」と思った方も少なくないのではないか。
ところが、このニュースが報じられたとき、地方市議経験者の女性は「こんなヤジはフツーなのに、なぜニュースになるの? やはり、東京だから?」と不思議な顔をしていた。彼女の感覚がマヒしていたのか。そうではない。低俗なヤジが飛び交うのが、どこの地方議会でも日常茶飯事的に行われていたということの証左なのだ。
さらに、政務活動費から不透明な支出があったことが問題となり、7月1日に会見を開いた兵庫県の野々村竜太郎県議の問題。その号泣会見は世界中に発信された。もはや一地方の問題ではなく、「日本の恥」になってしまった。
税金を使っているという意識があまりにも希薄なのは、いまさら言うまでもない。各メディアでは、「第2、第3の野々村」探しが行われ、今後もおもしろおかしく報じられていくだろう。
これで地方政治、もっといえば地方、国政問わず「政治への関心」が薄れることが予想される。「結局、政治なんてこんなもの。選挙に行くのもバカバカしい」なんて声も聞かれる。しかし、思い直してほしい。皮肉な話だが、ようやくこれで「議会の見える化」が急速に進んだとも言えるのだ。
議会の傍聴はこれまでも自由に出来たが、有権者からすれば地方議会への関心自体、皆無だった。情報公開も進み、地方議会の見える化はどんどん進んでいた。しかし、それを利用する側が関心を持たなければ“宝の持ち腐れ”で、さまざまな不正などが出てきて当然なのだ。
ならば、少しでも関心を持ち、自分たちが支持した議員がどういう活動をし、どう公金を使っているのか、日ごろからチェックする態勢を作っていくことが成熟した社会のあり方になるのではないだろうか。
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