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政治  投稿日:2013/10/14

[水野ゆうき]地方議員の台所事情~地方議会の課題~

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水野友貴(千葉県我孫子市議会議員 )

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「議員」というだけで高額な報酬をもらっているイメージがある。

一昔前までは政治家になれる人間はごくごく一部だった。まず選挙に出るためにはいわゆる地盤、看板、鞄が必須と言われている。選挙には莫大なお金がかかる。票を得るためには地盤が必要。つまり、地元の名士しかなれない時代が続いたからだ。そして、誰も地方議員の報酬を気にかけてはいなかった。

時代の流れとともに、二世でも三世でもない、庶民的な若い政治家が誕生し始めた。もちろん私もそうである。政治が信頼を失くし、焦燥感と危機感を覚えた志ある人が政治を目指せる時代になったのはつい最近。それはSNSやメディアの力も大きく関係しているだろう。

選挙にかかる費用は自治体の規模や仕方によって雲泥の差が出る。自分のことを例に挙げると、私はお金のかからない選挙戦を繰り広げた。お金がなくても当選できることを立証したかったということもある。初期費用としてチラシ、スピーカーやマイク、のぼり、タスキ、事務所・駐車場代、食費など相当な額となる。

私がこの中で一番不要なものとして判断したのが事務所である。そもそも事務所を借りたところで無名の私のところには誰も来ないだろうし、敵陣営が偵察に来るくらいで良いことはないと思ったからだ。基本的には地方選挙はざっと数百万と考えてもらえば良いだろう。私は会社員だったので、27歳までに貯めたお金をほぼ選挙に費やした。どんなにお金をかけないと言ってもやはりこれくらいはかかる。

市議になって2年弱。市民からよく聞かれることが報酬。

いっぱいもらっている?

議員は全国同じ報酬ではない。まずもって、国会議員、県議会議員、市議会議員、桁が異なる。そして基礎自治体議員も全国一律ではなく地方自治体によって全く額が異なるのだ。政令指定都市の市議は月額70万以上のところがある(千葉県で言えば千葉市)、我孫子市は月44万円。

議員は報酬のほかに政務活動費というものがある。これは民間企業で言えば経費みたいな扱いだ。しかしこの政務活動費も自治体によって金額も使途も異なる。ここを市民が見落としがち。この政務活動費というのは多い自治体では報酬の他に月20万以上ある議会もあれば、我孫子市にいたっては月2万5千円。この額は全国的にみても圧倒的に少ない。しかも他の自治体では議会報告のチラシにかかるお金をこの政務活動費に充てられるところもあるが、我孫子は主に文房具や机や椅子、書籍などといった物品で、チラシには使えない。

つまり、議会毎に議会報告を作って配っている私はチラシ代約10万円を自分の報酬から持ち出し。となると44万円‐10万円で34万円。毎月インターネットの管理料や健康保険等で実際は約30万円。そして何よりも選挙に向けて数百万の貯金が必須。ここから家賃、光熱費、生活費、食費・・・兼業をしていれば別だが、既婚男性で子どもを養うにはかなり厳しい職業である。

次の選挙に落ちれば選挙費用数百万を手放し、翌日から無職になる。なんとも惨い職業である。自分の生活がかかっているわけだから、選挙に必死になるのは仕方がない。敵同士の議会がまとまらないのも納得できてしまう。しかも政治家は不安定な職業であるため銀行からお金を借りることができない。尚且つ我々の報酬は下がることはあっても上がることは時代の流れとしてあり得ない。

議員というのは活動をすればするほどお金が厳しくなるという不思議な仕事なのだ。そのため、専業市議で死ぬほど働くとしたらどうしても支援者から少額でもお金を集めないと政治活動ができない。ポスティングも業者に頼む議員もいるが、私はそこまでのお金がない。私にいたってはまさにボランティアの方々に支えられて政治活動をしている。

私は会社員時代とお金の使い方が180度変わった。この報酬が市民の税金だと思うと、極力節約を心がけ、大好きな洋服や靴も全く買わなくなった。買えなくなったという表現の方が正しいかもしれないが、興味もなくなった。この報酬を多いと思うか少ないと思うか。何もしない議員はそのままその報酬が手元に残る。議員の活動によってその判断基準が変わるということを知ってもらいたい。

 

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