<土砂災害を防ぐ知恵を>大雨特別警報・大雨警報・洪水警報・大雨注意報・洪水注意報…って何?
Japan In-Depth編集部
また、痛ましい災害が起きてしまった。
死者39名、行方不明7名という被害者を出した、8月20日未明の広島市土砂災害。(21日午前7時現在)こうした痛ましい自然災害が起きるたびに同じような議論が繰り返される。
気象庁の気象警報・注意報の発表のタイミングの問題だ。つまり、住民の避難を促す「大雨特別警報」(注)が何故出なかったのか、という指摘である。
「大雨特別警報」とは、去年8月に作られ、数十年に一度の大雨が県単位のレベルで広がった場合に発表される。気象庁は、「周囲の状況や市町村から発表される避難指示・避難勧告などの情報に留意し、ただちに命を守るための行動をとってください。」としている。又、同時に、「特別警報が発表されないからといって安心することは禁物です。」と注意喚起もしている。
この「大雨特別警報」の他に「大雨警報」、「洪水警報」、「大雨注意報」、「洪水注意報」などがある。しかし、どれだけの住民がこうした警報・注意報のレベルに普段注意を払っているだろうか。また、今回のように未明の災害の場合、実際に住民の耳に警報が届いていたのだろうか?
去年10月、東京都伊豆大島の豪雨災害時も、特別警報は出されなかった。この時も、特別警報を出すタイミングについて議論があったが、今回の災害を防ぐだけの知恵は出てこなかったようだ。
気象庁と広島県は20日午前1時15分、広島市などに「土砂災害警戒情報」を、広島気象台は、午前3時50分ごろ「記録的短時間大雨情報」を広島市安佐北区付近に出したが、土砂災害は既に発生していた模様だ。
こうした痛ましい自然災害を防ぐためには、警報・注意報に頼らず、基礎自治体が普段から住民に対し、災害時の情報入手方法と避難ルート等を徹底することしかない。また、住民は、自ら情報収集して身の危険を回避する癖をつけておくことと、普段から近所と災害時にどう助け合うか、話し合っておくことだ。
「自助」「公助」「共助」というが、これに「近所」を付けたしたい。隣近所同士の繋がりが災害時に力を発揮することを、私たちは東日本大震災の時に学んだはずだ。
(注)大雨特別警報 http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/tokubetsu-keiho/
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