[山田厚俊]【みんなの党解党、浮いた政党助成金】~怠れないカネの監視~
山田厚俊(ジャーナリスト) 「山田厚俊の永田町ミザルイワザルキカザル」
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2009年8月、渡辺喜美氏、江田憲司氏の二枚看板でスタートした「みんなの党」は、着実に党勢を伸ばしつつあったかのように見えたが、13年に江田氏ら14人の衆参議員が離党し、分裂。その後、渡辺氏の「政治とカネ」問題が明らかになり、渡辺氏が代表辞任、浅尾慶一郎氏が新たな代表に就いた。それからわずか7カ月後、解党の結論に行き着いた。
しかし、発展的解消でなければ、触媒となり得たわけではない。今回の“解党劇”からは、私利私欲、個利個略しか見い出せない、残念極まりない帰結だった。同党関係者はこう語る。
「政党助成金15億円の奪い合いです。浅尾代表は所属議員全員と持参金を持って民主党と合流しようとした。次世代の党に移りたくて分党を叫んでいた人もカネ目当てです」
これに反対する議員は、政党助成金を頭割りして解党することを主張。それぞれの思惑が交錯するなか11月18日、役員会が開かれた。「もう一つにはなれませんよ!」声高に叫ぶ声が、廊下で待機している報道陣に聞こえてくる。荒れに荒れた会議だった。
結局、収拾がつかなくなった役員会は時間切れ。記者団に取り囲まれた浅尾氏は、解党して政党助成金は国庫に返納すると語った。その言葉通り、翌日の会議で「28日解党」が正式に決まった。
国庫返納はケンカ両成敗、痛み分けといった印象を持つ。しかし、地方議員の一人はこう警戒感を隠さない。「政党を解党して国庫に返納すると宣言しても、総務省の指示がない限り、政党助成金は宙に浮いたまま。一方、政治団体が存在する限り、“出し入れ自由”です。今後は、そのカネがまた出されて使われないか、厳しくチェックする必要があると思われます」
国会議員の思惑に翻弄された地方議員の切なる声。今後、カネの監視が怠れないことを切に祈る。
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