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.政治  投稿日:2014/12/17

[山田厚俊]【過去最低投票率52・66%の意味】~変化より継続求めた有権者~


山田厚俊(ジャーナリスト) 「山田厚俊の永田町ミザルイワザルキカザル」

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「今回の解散に何の意味があるのか」「なぜ選挙をするのか」「年の瀬の忙しい時期に選挙なんて、行けるわけない」

さまざまな声を聞いてきた今回の衆院選は、予想された通り、低投票率で終わった。しかし、今回ほど低投票率に納得した選挙はなかったと、つくづく思う。もちろん、権利はちゃんと行使した方がいい、というのは改めて言うまでもない。でも、「棄権」というのも「民意」なのだと思えたのだ。

週刊誌取材のなかで、さまざまな世論調査に触れてきた。ある調査では、「アベノミクスを評価するか」との問いに、「評価する」は約3割だったのに対し、「評価しない」は4割以上でトップだった。また、「格差」について聞くと、「縮まった」は2割程度で、「広がった」は4割強でやはりトップだった。つまり、安倍政権に対して否定的、懐疑的な人がダントツで多かったのに、投票するのは自民党だったのだ。

これをどう読み解くか。答えは、「変化より継続」だった。いま自分の暮らしは良くなっていない、しかし、2年まえの民主党政権よりマシなんだから、もうちょっとガマンしよう、だから安倍首相には頑張ってほしい、との表れなんだということだった。一方で、絶対安倍首相は許せない、こんなアベノミクスはさっさと止めてほしいと考えている人ほど、「投票しない」という意思表示に走るという結論にたどり着いた。

結果は周知の通り。反自民の受け皿になりえたのは、共産党だけだった。しかし、どんなにがんばっても共産党が政権を握れるわけではない。

政治への関心は薄れ、いやそれどころか政治への嫌悪感は増し、今後も投票率低下の歯止めはかからない可能性もある。この政治不信、政治敬遠の国民感情を変えるための努力は、与野党関係なく、それぞれの政治家自身の立ち居振る舞いにかかっている。

 

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