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.社会  投稿日:2013/11/12

宝の山「NIPPON」を日本人が認識するための、国内クール・ジャパン活動をもっと![第2回]


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生駒芳子(ファッション・ジャーナリスト/アート・プロデューサー)

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①から続く]そこから、私の、伝統工芸世界を旅する日々は始まった。

いまも、三重県、福島県、石川県、和歌山県など、全国をまわり、ときには、そうした里に、クリエイターやデザイナーを送り込み、新たな商品開発をするきっかけを生む活動を続けている。さらには、こうした活動から生まれた進化形の伝統工芸アイテムを中心に、センスのよいおしゃれなアイテムを選別して、展示・販売するプロジェクト「工芸ルネッサンスWAO」も、2011年よりスタートさせた。

宝の山といえば、繊維産業も同じくだ。デニムからニット、合繊まで、世界中のトップファッションブランドが、日本に素材を買い付けに来ていることは、ご存知だろうか? 精密なものづくり力から生み出される上質の素材は、いまや世界中のデザイナーの心を奪っている。そして、少し嬉しいことには、最近では、東京の若手のファッションデザイナーたちも、日本の工場と組むということを、クリエイションの軸にし始めている。

しかしこういった事実は、なかなかメディアで紹介されないため、日本国内での認知度は低い。安価なアパレル商品を作るために、生産拠点を海外に移す、という現象から、状況は一歩未来に向けて進み始めているのだ。これら一連の活動と平行してここ3年間、経済産業省のクール・ジャパン官民有識者会議にも出席し、日本政府が本格的に着手するクール・ジャパン政策への提言も、さまざま行ってきた。この11月には、クール・ジャパン推進機構が誕生し、いよいよ本格始動するが、一つだけ、気になることがある。

このプロジェクトでは、主に、海外進出のプロジェクトを応援するという気運があるが、私としては、国内のクール・ジャパン・プロモーションにも、ぜひとも力を入れるべき!と提案したい。上記のような状況のもと、「クール・ジャパン」が、もっともっと、日本人全員が応援したくなるようなプログラムとなるべきと考えている。日本人全員がクール・ジャパンの応援団となれば、そんなに心強いことはない。小学校や中学校で、「クール・ジャパン授業」を月一回、行うことだって、もっと積極的に検討されるべきだ。

2020年の東京オリンピックに向けて、日本人全員が「おもてなし」を身につけるのは、まずは、日本人が日本の魅力をよく知ることから始めるのがいちばんだと言いたい。いましばらく、個人レベルでの国内クール・ジャパン・プロモーション活動を続けていこうと思っているし、そういった活動を展開している人々と繋がることから始めようと思っている。そして今後のクール・ジャパン全体の動向も、必ずや注視していきたいと思う。

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