安野氏のAIプロジェクトに参画「参院選は千載一遇のチャンス」国民民主党伊藤孝恵参議院議員

安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)
Japan In-depth編集部(楊文果)
「編集長が聞く!」
【まとめ】
・国民民主党は、安野貴博氏のAIプロジェクト「デジタル民主主義2030」に参画、AIを活用した政策決定プロセスへの改革を目指している。
・伊藤孝恵参議院議員は、安野氏と交渉、必要なSEを確保し、台湾のJOINのような政策プラットフォームの構築を提案。
・今週24日には安野氏を招いてライブ配信。プロジェクトの進捗を公開する。
AIエンジニア安野貴博氏が提唱する、日本の行政・政治をアップデートするAIプロジェクト「デジタル民主主義2030」。その中で、たくさんの人の声を聴く、いわゆる「ブロードリスニング」や、「民意による政策反映」などが提唱された。安野氏は、このプロジェクトは、誰でも無料でオープンソースのシステムを活用して実証実験を開始できるとして、自治体、政治家、首長、政党に対し、積極的な利用を呼びかけた。
国民民主党はさっそくこの呼びかけに反応。同党の榛葉賀津也幹事長は、Japan In-depthチャンネルに1月21日に出演し、「(会見を見たが)しびれましたね。すぐに伊藤孝恵参議院議員に参入するよう指示した。これこそAIの正しい使い方ですね。今までは目の前の声の大きい人やインフルエンサーに耳を傾けがちだった。しかし目の前にはない声、隠れた声、声なき声、これらを集約できるというのは民主主義の救世主ですね」と同プロジェクトを絶賛した。
そこで、榛葉幹事長が安野氏との交渉を任せた伊藤孝恵参議院議員にさっそく話を聞いた。
伊藤氏はすぐに安野氏側に接触したが、安野氏の出した条件のハードルが高かった。ハイスペックなSEをフルタイムで用意する、というものだ。
「これができる政党があるのか。レベルの高いSEを置かないと(プロジェクトの)データは使えないと聞くと、(交渉相手は)皆震え上がるそうです」と伊藤氏は述べた。
そこで伊藤氏はこの条件をクリアするため、古巣のIT企業を訪ねた。
「かつて共に働いていた人など、色々なところに声をかけてやっと(SEを)見つけました」。
こうして、国民民主党は条件に合うSEを確保、安野氏との交渉をスタートさせた。

▲写真 伊藤孝恵参議院議員ⓒJapan In-depth編集部
一方で、伊藤氏はブロードリスニングだけにとどまらず、「ボートマッチのように、みんなで政策を選べるシステムを作っていきたい」と語った。
「安野氏のアウトプットのイメージ図を拝見したが、実は(台湾の)JOINまではたどり着いていない。だからJOINを作ってくれと今オファーしている」
JOINとは、台湾のIT大臣(当時)オードリー・タン氏により作製され、2015年に公開された市民参加型の公共政策プラットフォームのことである。JOINでは台湾国籍を持つ全ての人が政策に関するアイディアや意見を投稿できる。そして60日以内に5,000人の賛同を得られた場合、投稿内容に関連する行政部門は2カ月以内に書面にて回答する義務が課せられる。
「(安野氏が計画しているものに)JOINのベータ版のようなものがあるが、政策にして欲しいことのラインナップに対してサインが上がってくるようなものがいい。SEも用意したからもうちょっと頑張ろうと今オファーしている」。
伊藤氏はまた、「政治にビルトインしたいんだったら参院選は千載一遇のチャンス」と述べ、安野氏とのプロジェクトのギアを上げていく考えを示した。
今週金曜日24日には、国民民主党のYouTubeライブ「Go!Go!こくみんライブ~安野貴博氏に聞く!デジタル民主主義 ~」を配信する。他の党に比べてダントツに動きが早いことに驚く。
伊藤氏は、「国民民主党という政党の特徴からして、できること、できないことをディスカッションする。(一連の過程における)トライアンドエラーも含めて皆さんにお見せしたいと思っている」と意気込みを語った。24日のライブではどのような具体的な構想を聞くことができるのか、期待したい。
(了)
トップ写真:伊藤孝恵参議院議員 ⓒJapan In-depth編集部
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この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員
1955年東京生まれ。ジャーナリスト。慶応義塾大学経済学部、国際大学大学院卒。
1979年日産自動車入社。海外輸出・事業計画等。
1992年フジテレビ入社。総理官邸等政治経済キャップ、NY支局長、経済部長、ニュースジャパンキャスター、解説委員、BSフジプライムニュース解説キャスター。
2013年ウェブメディア“Japan in-depth”創刊。危機管理コンサルタント、ブランディングコンサルタント。
