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政治  投稿日:2014/12/13

[大原ケイ]【アベノミクスに対する抜き打ち中間テストに国民困惑】~総選挙、米メディアの報道ぶり~

国民
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大原ケイ(米国在住リテラリー・エージェント)「アメリカ本音通信」

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解散総選挙のことを英語でsnap electionという。snap decisionといえば、よく吟味せずに性急に下された決断を指すことが多く、動詞としてのsnapにはいわゆる「キレる」という意味もある。

 今回の選挙に対する海外プレスの反応は大概冷ややかだ。安倍が選挙をやるのは、首相の権限範囲内なのでなんら違法ではないし、選挙にお金がかかるなどという民主主義の理念にそぐわない発言もないが。

保守派メディアのFOX(フォックス)で石油・エネルギー関連問題を担当するフィル・フリンはOPECが止められないでいる原油価格の低迷を、EUや日本になんとかしてもらわないと、と言いながらも、日本の与野党いずれも景気回復への道筋を立てられずにいるからgo for broke(すべてを賭ける、の意)、半ばやけっぱちで解散総選挙を決めたと言い、God help him.(上手くいくといいけどねぇ)と突き放す。

ワシントンポストは「日本の経済回復のためにアメリカができることはもっとある」と題した社説で安倍首相の解散総選挙を支持しているが、なんということはない、TPPをはやく締結しろと言っているだけだ。オバマ大統領がさっさと内容に合意して国会で可決すれば双方の国にとって良いことだというわけだ。

ガーディアン紙アメリカ版は、この選挙を安倍の「自己保身」のためと断言、増税の後、日本の経済が再び不況に陥ったのを知って急ぎ決断した、としている。そして自民党が公明党と組まなくても済む議席数を確保すると見ている。その後に来るのは、原発の再稼働と、自衛隊の海外派遣だ、とも。結局、この選挙を注意深く見守っているのは当の日本国民ではなく、むしろ中国や韓国政府だろうという見解だ。

アメリカの公共ラジオ局PBSでは、なぜまた選挙をやらなければいけないのかと国民が困惑していると伝える。国民の生活よりも、安倍が自分の野望のために選挙をするのだと明確に言い切る専門家もいると伝えている。「選挙の結果よりも、投票率が国民の気持ちを知る指標になるだろう」。

ニューヨーク・タイムズのマーティン・ファクラー記者は地方の投票者の声を拾い、一向に生活が良くならない状況を記事にしている。選挙区によっては急な選挙で野党は十分な対抗馬も用意できず、自民党が圧勝したとしても、それは国民が「しぶしぶ」投票するしかないためだとしている。

選挙を目の前に、格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが1日に日本国債の格付けをAa3からワンランク下げてA1としたことに続き、フィッチ・レーティングスも日本国債の格付けを年内のうちに見直すという通達があったものも、今回の選挙の時点では安倍政権への逆風になるには至らないと捉えられている。

いずれにせよ、この選挙で特に何かが決定的に変わるわけでもなく、アベノミクス政策に対する抜き打ち中間テストで日本国民が戸惑っている、というのが大方の見方だ。

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