[Japan In-depth 編集部]【首都直下大震災、帰宅困難者はどうする?】~虎ノ門ヒルズ訓練密着リポ~
16日の早朝、虎ノ門周辺に早朝現れた黄色い作業服に身に纏った集団。数十名のサラリーマンと思しき人々を引率し、2014年に竣工したばかりの虎ノ門ヒルズに吸い込まれていった。通勤途中のサラリーマンやOLはその集団にちらと目をやることはあっても、立ち止まることもなく、足早に職場に向かっていった。 これは、東京港区に多くの商業ビルを持つデベロッパーの森ビルが、同社の運営する複数の商業ビルを対象として行った帰宅困難者受入訓練の様子だ。今回行われたこの訓練、森ビルグループ全体初の震災対策訓練であり、虎ノ門ヒルズではタウンマネジメント事業部の社員110名が参加した。うち40名が受入業務担当、残り70名は帰宅困難者という設定であった。 森ビルと港区とは2014年6月から帰宅困難者受入の協定を結んでいる。実際に震災が起きた場合は、区役所などと連携をとり、近隣の帰宅困難者3,600人を受け入れる計画だ。それ以外にも森ビルグループとして、六本木ヒルズで5、000人、その他の商業ビルで4,000人、12,600人の受入体制が整っているという。
備蓄倉庫には、3,600人分×3食×3日間=45,000食の食糧のほか、空気をいれると寝袋になるエアマットや防寒保護シート、簡易トイレなども備蓄されている。帰宅困難者の中でも、けが人は男女別に運ばれ、重篤な人は病院に搬送されるなど、システマティックな訓練を入念に行っていた。
そうした中、震災時は、「共助」の意識が大切だ。「災害時には自助だけではなく、共助の精神を持ち、積極的にボランティア精神を持ち、みなさんで助けあって震災を乗り越えていきたい。」と森ビルのスタッフは強調した。実際には、災害時帰宅困難者の受入の際、利用同意書と同時にボランティア要員として活動するか確認をするという。
「公助」に過度に依存せず、民間企業がこうした災害対策に力を入れることは非常に重要だ。一方で、実際に首都直下の震災が発災した場合、その被害は想像を絶するものになる可能性が高い。東京都は、ライフラインが1週間以上止まることは十分にありうる、としている。 災害時に自分たちはどのようにして身を守るのか。「公助」、「共助」に過度に期待するのではなく、「自助」について考えるべきだろう。自分の住むコミュニティーの防災意識は十分か、なにより自宅の水・食糧・簡易トイレの備蓄は十分か。災害時の家族内のコミュニケーションをどうとるか、など、平時の内に万全の準備をしておくことが必要だろう。
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