[水野ゆうき]若い世代やネット市民が政治を変える!〜一部の『プロ市民』だけではない、誰もが政治家と行政を監視し、政治に参加できる仕組み〜
水野友貴(千葉県我孫子市議会議員 )
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プロ市民という言葉を知っているだろうか? 我々政治の世界でよく使われる『プロ市民』。簡単に言えば、「地域のことに主体的にかかわり責任を果たし続ける市民」のことを指すのだが、我々がプロ市民という言葉を使う際は少し異なる意味合いにもなる。
私が議員をしている千葉県我孫子市では市政ふれあい懇談会という市長及び執行部(行政側)と市民が直接意見交換をする会が年に数回各地で催される。私は一人でも多くの市民にこの懇談会に参加して、自分の税金がどう市政に使われているのか知ってもらいたい、ということからSNSを駆使して日時や場所を拡散するが、実際にこの会に参加する市民はお馴染みの顔ぶれである。議会を傍聴する市民も同じ。このように積極的に市政・市議会に関心を持ち、市民として意識を持ち、直接政治家や行政に要望や指摘をする市民をプロ市民と呼ぶことが多い。
このような意識の元、全ての市民に市に携わってもらいたいと願うが、実際はそうもいかない。平日は市外へ通勤・通学し、土日は極力休むか家族サービスをする市民がほとんどで、休みの日にわざわざこの懇談会に出席しようと思う市民は少ない。実際に自分がそうだったからだ。平日朝早くに満員電車に乗って、終電で帰る生活。自分の生活でいっぱいいっぱいであるからこそ、市のチェック機関の役割を担う市議を選挙で選び、委ねているわけだ。
しかしながら、実際に自分が議会の中に入ってみると、やはり市民に関心を少しでも持ってもらいたいと思ってしまう。それは、一部の声の大きい市民の要望ばかりが通り、サイレントマジョリティの声が行き届かない市政になってしまうからだ。一部ではプロ市民はエゴ集団と呼ばれる場合もある。そこまで言わないまでにしても、懇談会に参加し直接市長に要望できる場としては、参加した者勝ちになる。プロ市民による政策が本当に市に必要なものなのかどうかを見極めなくてはならないにも関わらず、その市民の声をあたかも全市民の意見かのように錯覚してしまうのだ。
そこで私が政策に取り入れたのがSNSをはじめとした「ネット活用」である。千葉都民が多く住むと言われる我孫子市ではSNSを活用している市民が非常に多い。SNSを活用することによってこれまで思っても意見を発する場のなかった市民が気軽に市政に対し疑問や要望を投げかけることができるからだ。もちろんそれだけでなく、我孫子市の情報発信には課題が多々あり、ホームページが何度も災害時や緊急時にダウンするなど市民の情報がシャットダウンされ、行政によるSNS活用は市民からかなり問い合わせが多かった。
今回2年間かけて私は説得し、選挙公約であったFacebookの導入をようやく市が決めた。これにより市民も市政を身近に感じ、間接的に地域に関わり、自分が生活する街や市の予算に関心を持ち始めることが望まれる。
これまで直接対話のみであった一部プロ市民のみではなく、これからは若い世代を含むネット市民も、良い意味でのプロ市民となり、市民全体で市政・市議会を監視することで、さらなる市民目線と是々非々の視点が政治の世界に取り入れられることが期待される。
政治家と行政に緊張感を持たせることができるのは市民の目しかないのだ。
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