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.国際  投稿日:2014/1/8

[藤田正美]中国経済は今、どれくらい“ヤバい”のか〜中国という巨人が落ちれば、最大の余波を受ける日本


 

Japan In-Depth副編集長(国際・外交担当)

藤田正美(ジャーナリスト)

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昨年末(2013)に中国審計署(日本で言えば会計検査院)が、中国の公的債務について監査した結果を発表した。この監査はこれまでになく大々的に行われた。全国に派遣された会計士は5万4400人、中央政府に加えて、省、市、県、それに郷鎮の政府、さらに理財商品で問題になっている地方政府の融資平台から国有企業などなど、上から下まで徹底した監査を行った。

その結果、公的な債務は、中央政府が約10兆元(約170兆円)、地方政府が約11兆元(約190兆円)に達していることがわかった。これは昨年6月末時点の数字である。しかしここで注意しておかなければならないのは、この他に「偶発債務」があることだ。偶発債務とは、政府が返済に責任を負っているわけではないが債務保証しているもの、つまり借り手が返せなければ政府が代わりに返さなければいけないものである。

こうした偶発債務などを足し合わせると、中央政府が約12兆元(約200兆円)、地方政府が約18兆元(約300兆円)に達する。これを中国のGDP(国内総生産)と比べると、中央政府が23%、地方政府が33%、合計しても56%にしかならない。日本が200%を超えていることを考えると、中国ははるかに余裕があるということになる。しかも審計署は、偶発債務はあくまでも借り手が返せない場合の話であって、それを一般の債務と合計するのはおかしいと主張している。

たしかに全体として見れば、中国の公的債務は管理可能な水準にある。しかし中央政府はともかく、地方政府は地方によってばらつきが大きい。しかも返済する手立ては限られている。本来、企業などが地方政府が整備した土地に工場を建設することで政府は返済原資を手に入れることができた。

しかし、その大きな部分を占める外国資本が中国への直接投資を減速させている。このため地方政府の資金繰りが苦しくなっているわけだ。「地方債」を発行できない地方政府は、結局、銀行融資に頼るしかない。高い金利を約束する理財商品による調達は、コストが高すぎるからだ。

中央政府は、銀行の融資が野放図になりすぎることを警戒して、資金市場を占めている(そのために金利が乱高下する)。ここでもし理財商品などが返済不能ということになると、それが社会不安を呼び、金融全体のシステミックリスクになる可能性もゼロとは言えない。ましてゾンビ銀行を処理しなければならない欧州は、景気回復の足取りが遅い。中国は輸出による景気回復という意味ではアメリカに頼る「片肺飛行」にならざるをえない。

中国がバブルの後始末に追われるのが先か、世界景気の回復が先か、時間との勝負だ。そしてもし中国が後始末に追われるようなことになれば、日本もアベノミクスの第3の矢どころではなくなるだろう。中国という巨人が池に落ちれば、その余波を受けるのはどこよりも日本だからである。

 

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