[山田厚俊]世論調査では圧勝でも不安を隠せない自民党都連幹部〜舛添要一陣営を悩ます“前門の細川、後門の田母神”
山田厚俊(ジャーナリスト)
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1月20日午前、自民党都連幹部から1本の電話が入った。
「このままでは楽勝ムード。陣営の気の緩みが心配だ」
細川護煕元首相が、小泉純一郎元首相とツーショットで事実上の出馬表明をした後、マスコミ数社の世論調査で、舛添要一元厚労相がダブルスコアに近い数字で圧倒。一見、喜ばしいことかと思いきや、冒頭の言葉となったのである。確かに、選挙で一番の「敵」は、気の緩み。勝てると思って選挙戦に臨むと、やるべきことを怠り、それが悪いウワサに繋がり、どんどん支援者の気持ちが離れていき、見込んでいた票が激減することがあるからだ。
かつて、“小泉劇場”と呼ばれた小泉氏のマイクパフォーマンスだが、いまやその力は減退していると見られている。しかし、実際に有権者のまえでマイクを握っていないので、その予測も不透明だ。加えて、自民党が一枚岩ではないとの見方が不安を増幅させていると、前出の幹部はこう明かす。
「自公の基礎票は約230万票(自民約150万票、公明約80万票)と言われているが、その言葉を鵜呑みにはできない。コアな自民党員は、『舛添氏には入れられない。外国人参政権反対、原発再稼働賛成の田母神氏が一番都知事に相応しいと考えています』と、党の方針に背いて田母神支持を悪びれずに表明しています。自民党の2割以上が田母神氏に流れる可能性があるのです」
また、舛添氏は女性問題がネックだと、指摘する声もある。
「公明党の支持母体である創価学会の婦人部は、女性スキャンダルをとても嫌っています。今後、舛添氏のちょっとした言動で、公明票でさえも離れていくこともあります」
本命と見られる舛添氏だが、じつは“前門の細川、後門の田母神”といった状態なのだ。これから各候補者は本格的な論戦に入るが、これまでの支持率通りにうまくいく保証がないので、陣営は気をやきもきさせながら、間もなく告示を迎える。
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