【大予測:政局】17年前半に解散か?
山田厚俊(ジャーナリスト)
2017年の内政で一番の注目は、「いつ解散か」という点だ。現在の衆院議員の任期は18年12月まで。期限が迫った18年になると、追い込まれ解散になる可能性もあるため、17年内に安倍晋三首相が自らのタイミングでいつ解散権を行使するかが焦点となっているのだ。
しかし、ロシアのプーチン大統領との会談後、安倍晋三首相は衆院の解散総選挙について、「現段階では全く頭の片隅にもない」と述べた。それまで、16年末のクリスマス解散、はてまた真珠湾訪問後の年明け解散など詳細な日程も含めて、さまざまな憶測が流れていたが、全て打ち消す発言となったわけだ。永田町では、「これで1月解散は消えた。17年秋以降になるのではないか。安倍首相は12年、14年と年末解散で圧勝しているから、ゲン担ぎで17年11月解散、12月総選挙を目論んでいるのでは」(民進党中堅衆院議員)と、読む声もある。
しかし、それでも早期解散説は燻っている。野党幹部はこう語る。
「大きなポイントは夏の都議選。小池百合子都知事の新党が躍進し、自民党都連が大敗する可能性がある。そうなった場合、国政に与える影響は大きく、年内解散は出来なくなることも考えられる」
夏に解散し、都議選とのダブル選には公明党が一貫して反対しているため、夏の選挙はない。となれば、選択肢は自ずから上半期に狭められてくる。
加えて、5月には、衆院議員選挙区画定審議会が、小選挙区で「0増6減」を勧告する。定数減の対象県は、青森、岩手、三重、奈良、熊本、鹿児島だが、自民党は多くの現職を抱えており、候補者調整が難航するのは必至。党内で大きなハレーションを引き起こす可能性が高く、新区割り後の選挙は避けたい思いが強い。
さらに、経済の見通しが立ちにくい点も、解散先延ばしの不安要素となっている。トランプ次期大統領の手腕は未知数で、世界経済がどう進んでいくのか。それにより、日本経済がどうなっていくのか。仮に、右肩下がりに歯止めがかからない状態になったら、解散など“自滅行為”となるのは自明の理だ。
とはいえ、17年早々に解散する「大義名分」はない。菅義偉官房長官が反対している理由もそこにある。自民党内でも、「大義がない解散があるはずがない。有権者の反発を食って、3分の2を手放したら総理の責任問題になる」と言い、「(解散は)6割はない」と語る。しかし、この言葉を裏返せば、「総理の思惑次第で4割は否定できない」と意味言うに他ならない。果たして、解散はいつか。
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この記事を書いた人
山田厚俊ジャーナリスト
1961年、栃木県生れ。東京工芸大学短期大学部卒業後、建設業界紙、タウン紙の記者を経て95年4月、元大阪読売社会部長の黒田清氏が代表を務める「黒田ジャーナル」に入社。阪神・淡路大震災の取材に加わる。震災取材後、事務所から出向する形でテレビ制作に携わる。黒田氏死去後、大谷昭宏事務所に転籍。2002年から週刊誌で活動を始める。2009年2月、大谷昭宏事務所を退社。フリー活動を開始。週刊誌をはじめ、ビジネス誌、月刊誌で執筆活動中。