社会保障費 優先順位つけよ
「細川珠生のモーニングトーク」2017年4月15日放送
細川珠生(政治ジャーナリスト)
Japan In-depth 編集部(坪井映里香)
【まとめ】
・子育て支援はプライオリティが高い。
・医療費含め予算の「再定義」が必要
子どもの貧困、待機児童問題などが浮き彫りになっている中、給付型奨学金の創設や、東京都の高等学校完全無償化など、子育て世代の負担軽減の施策が議論されている。教育施策や社会保障のあり方について、自民党青年局長の鈴木馨祐衆議院議員に政治ジャーナリスト細川珠生氏が話を聞いた。
まず細川氏が、昨今取りざたされている「子ども国債」や「子ども保険」についての評価を鈴木氏に問うた。それに対し、鈴木氏は、「家庭環境など、自分のせいではない理由で教育を受ける機会が損なわれることは決してあってはならない。公教育の充実や、給付型奨学金などでチャンスの平等を保証するのは当然政府の責任だ。」と述べた。
そして鈴木氏は、財源をねん出する為に次の4つの方策を示した。
・教育国債
・子ども保険
・税
・現在の予算の組み換え
その上で鈴木氏は、4つ目の予算の組み替えが適しているとし、「現在の高齢者向けサービスを若者・子供向けにシフトしていくことが一番大事だ。」と述べた。
次に細川氏は、高齢者の増加による年金・介護・医療分野のニーズ拡大の一方、子育て支援の充実も求められている現状で、「社会保障費は膨らむ構造になっており、どのような改革が必要か」と尋ねた。
これに対し鈴木氏は、高齢者の福祉、教育、国防費、科学技術のための予算など、全ての予算には「大義」があるとしたうえで、「だからといって全てをやっていたら際限がない。次の世代への投資、すなわち子育て支援はプライオリティが高い。」と述べ、限られた予算の中で優先順位を付けることが必要との考えを強調した。
また、高齢者の医療や介護など、さまざまな社会保障が行われている中、鈴木氏は、実際に「必要なところ」をもう一回定義をし直す必要があると強調し、自民党もこの機会に「こうした議論をスタートさせなければいけない。」と述べた。
細川氏が、「医療費、教育費など、国がどこまで責任を持つのかという根本の議論が必要だ。」と述べると、鈴木氏は終末期医療を例にとり、「生活の質がきちんと守られ、幸せと感じる中で無くなる、という考えも必要になってくるが、今そういう考えに基づく仕組みになっていない。」と指摘した。
また、「薬も技術料もすべて公的なお金で面倒みられており、サービス提供者である民間企業が一番利益が上がるように予算が組まれている。こうしたところもコントロールする仕組みが必要だ。」と述べた。また、薬価の値段の決め方にも改善の余地がある、と指摘するとともに、「診療報酬は医療提供者側に立って決められており、改定されれば国民負担が増える。国民皆保険を守るためにもみんなのお金で面倒をみる疾病の範囲を制限する必要がある。」と述べた。たとえば、うがい薬や湿布など少額なものは自己負担にしたり、超高度な医療は民間保険と併用したり、とやり方はある、とした。また鈴木氏は、「長い目で見て、国民の将来の負担でやってもいいものに限定するという勇気が必要だ。」と述べた。
最後に細川氏は、政治家が未来に対しての責任を重んじ、30年、50年先を見据えた社会保障改革に取り組むことに期待する、と述べた。
(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2017年4月15日放送の要約です)
「細川珠生のモーニングトーク」
ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分
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この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト
1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。