多様な生き方考えよ「働き方改革」
「細川珠生のモーニングトーク」2017年4月8日放送
細川珠生(政治ジャーナリスト)
Japan In-depth 編集部(大川聖)
【まとめ】
・男性が家事や子育てに参画しにくい社会が少子化に繋がる。
・サービス分は価格に転嫁していくことが望ましい。
・AI導入は多様な働き方を考えるきっかけに。
3月28日に政府の『働き方改革実現会議』が『働き方改革実行計画』をとりまとめた。そこでゲストに自民党『働き方改革に関する特命委員会』の幹事長を務め、以前は厚生労働大臣としてもこの改革に携わってきた衆議院議員自民党政調会長代理田村憲久氏を迎え、政治ジャーナリストの細川珠生氏が働き方改革について話をきいた。
「長時間労働の是正や同一労働同一賃金の議論がクローズアップされているが、『働き方改革』を行う真の目的は」という細川氏の問いに対し田村氏は、「以前と違い、今は家に帰っても仕事ができる時代。日本人は勤勉で、働く環境が整備されていれば寝ずにでも働いてしまう。そういう環境が男性が家事や子育てに参画しないことに繋がり、少子化が生まれる一因となる。」と述べ、日本の労働環境の改革が必要との考えを示した。
そのうえで、「女性や高齢者が本格的に色んな仕事に入ることによって労働参加率が増え、経済も活性化する。」と述べた。また、「日本の国民が今までの生活環境を見直すことによってそれぞれが自己実現し、やりたいことに時間をあてて幸せになっていければ良い。」と述べ、生活環境の見直しが重要との考えを示した。
次に細川氏は「残業時間の上限規制という話もあるが、給料システムの問題や、長時間労働の問題、また、AI(人工知能)と労働との兼ね合いなどはどう考えるか?」と質問した。これに対し田村氏は、「日本のサービス産業は生産性が非常に低い。おもてなしの部分が金額にちゃんと上乗せできていないのではないか。」と述べ、サービスの価値を価格に転嫁すべきとの考えを強調した。
またAIに関しては、「予測は難しいが、AIが進歩すると人の働く量自体は減り、長時間労働がなくなる。日本は一番馴染みやすい社会だ。人口が増えている国は失業者だらけで大変だが、日本は科学技術の進展を活用してうまく社会を作っていくことができる。」と述べ、AIは脅威とはならないとの考えを示した。
細川氏が外国人労働者の受け入れについて聞くと田村氏は、「日本は移民を進めるということはしない。ただし、介護は人手不足である。」と述べ、介護養成学校や法律で対応していく姿勢を改めて示した。そのうえで真に日本人が必要としている分野や日本人と競合しない分野においては活用の道もあると述べた。
また、田村氏は介護の分野における「アジア健康構想」について、「日本でたしかな能力をもった介護人材は、アジアでエリートとして働けるようになる。」と述べ、外国人労働者が日本で習得した技術を基に自国で活躍していくビジョンを紹介した。
細川氏は『働き方改革実行計画』が、多様な生き方を考える契機となる可能性について指摘した。これに対し田村氏は、今回の『実行計画』には同一労働同一賃金だけでなく、多様な意味が込められていると述べ、「我々は法整備をしながら、日本の社会を大きく変えていきたいというのが思い。」と強調した。
(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2017年4月8日放送の要約です)
「細川珠生のモーニングトーク」
ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分
ラジオ日本HP http://www.jorf.co.jp/index.php
細川珠生公式HP http://hosokawatamao.com/
細川珠生ブログ http://tamao-hosokawa.kireiblog.excite.co.jp/
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この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト
1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。