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.政治  投稿日:2017/10/30

幼少期から多様性身につけよ 橘・フクシマ・咲江氏


「細川珠生のモーニングトーク」2017年10月21日放送

細川珠生(政治ジャーナリスト)

Japan In-depth編集部(駒ヶ嶺明日美)

【まとめ】

・これから子供たちは多様性対応能力が求められる。

・幼稚園の頃から多国籍の人達と親元を離れて生活することを提唱。

・「外柔内剛」信念は決して譲らず外にはしたたかに対応することが重要。

 

今回のゲストは、企業の社外取締役や文科省委員などを歴任し、グローバル人材の育成・発掘・登用に実務的に携わってきた経験を持つ、G&S Global Advisors Inc.代表取締役社長の橘・フクシマ・咲江氏である。日本の置かれている状況と世界の流れという観点から、日本はこれからどのような人材を育てていかなければならないのか、政治ジャーナリストの細川珠生氏が話を聞いた。

まず細川氏が、「これから育っていく子どもたちは、当然のようにグローバル人材として期待されるが、どういった力が求められるのか。」と質問すると、

フクシマ氏は「一番大切なのは、どういう価値観の人たちとでも仕事ができるということ。同じにまとめようとするのではなく、それぞれの個性を生かして多様な人達を動かしていくという力が求められている。多様性対応能力というのが日本人にとって難しいのではないか。」と答えた。

細川氏も「自分の意思をはっきり言わずに、なんとなくまとまるのが日本社会。海外で自己主張しなければ相手にはなにも伝わらないという経験をすると、日本に戻ると変な人だと思われてしまう。その違いを乗り越えなければいけない。」と述べた。

次に、細川氏は「グローバル人材の育成というと、英語力の話になりがちだが、子どもたちが多様性を感じ取ることができるようになるには、どのような教育制度が考えられるか。」と質問した。

フクシマ氏は「幼稚園の頃から多国籍の人達と一緒に自然な環境の中で親元を離れて生活することを提唱している。」と述べ、視察で訪れた中国の幼稚園での教育の様子を説明した。そこでは、3~8歳児が月曜日から金曜日まで宿舎で生活し、1人でシャワーを浴びたり、洋服をたたんだり、アメリカ人の先生と英語でお菓子作ったりと、自立した生活を送っているという。また多様性を教えるため、20種類以上の世界の蛇口をトイレに設置するなどの工夫があるそうだ。

「自分のことは自分でやるという教育を受けている人と、会社の入社式までご両親がついていくような環境で育った人が同じ職場で仕事をしたらどうなるんだろう、と危機感を持った。これは極端な例だが、小さい頃からどこへ行っても自分の力で生きていくということを教えていく必要がある。」と述べ、幼少期から多様性に慣れることと自立を促すことが重要だとの考えを示した。

さらに、フクシマ氏は「これからは人がどういうスキルを持っていたらAI、IoTと共存していけるかを考える時だ。働き方も親の時代とは変わってくる。自分で考えて、自分を時代に合うようにしていくことが求められてくる。そのためにもはじめから多様性に慣れておくのは重要。」と、技術革新の観点からも多様性が大切であるとの考えを強調した。

また、細川氏が「日本は丁寧な教育をしているようにも見えるが、同じような子を育てるという観点で来ているような気がする。」と述べると、フクシマ氏は「戦後すぐの時代と比べると、今の人達は、親御さんも教育機関も大変だろう。私が育った時代は戦後の荒廃から立ち上がり、豊かな日本に向かうというゴールがあり、その中で成功する人のモデルがあった。いい学校に行き、官庁や大企業に行くという、成功のキャリアパスが明確にあり、それに従って教育の道筋も見えていた。

しかしこれからは多様な職種も価値観もあり、グローバルに出ていく場合もあれば迎える場合もある。その上、政治的にも世界が混沌としている状態。こういう世の中で生きるためには教育で何を教えるべきか、ということについて実はものすごく議論があるはず。今までのように一つの価値観で人を育てていれば無事にいい生活ができる、という時代はもう終わっている。」との考えを示した。

最後に、細川氏が、衆議院選挙を経たあとの日本をどうみるか、と質問すると、フクシマ氏は「課題が出てきて世界が動いてきているということは、機会でもある。」と述べると同時に、「誰が悪いという議論ではなく、どうやったらできるかということを議論すべき。相手を批判するということは政治の性格としてもともとあるが、あまりに無駄な議論で時間を使う余裕はもう無いのではないか。」と懸念も示した。

その上で、「日本の良いところを残しながら、どうやって強い日本になるのかと(考えてほしい)。外柔内剛という言葉のように、内の信念や重要だと思うことを決して譲らずに、しかし外にしたたかに対応することが重要だろう。」との考えを示した。

 (この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」20171021日放送の要約です)

 

「細川珠生のモーニングトーク」

ラジオ日本 毎週土曜日午前705分~720

ラジオ日本HP http://www.jorf.co.jp/index.php

細川珠生公式HP http://hosokawatamao.com/

細川珠生ブログ  http://tamao-hosokawa.kireiblog.excite.co.jp/

トップ画像:©Japan In-depth 編集部


この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト

1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。

細川珠生

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