.政治  投稿日:2018/11/5

「憲法改正案出す予定ない」立憲民主党代表枝野幸男衆議院議員

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「細川珠生のモーニングトーク」2018年10月27日放送

細川珠生(政治ジャーナリスト)

Japan In-depth編集部(小俣帆南)

【まとめ】

・入管法改正に伴い、日本人の労働に対する意識変革や生産性向上を目指すべき。

・憲法改正は目的ではなく、問題解決の手段。

・改憲に限らず社会問題も含めて、さらに議論深めるべき。

 

10月24日、第197臨時国会が開会した。29日には安倍総理の所信表明演説に対して各党の代表質問が衆院本会議で始まり、本格的な国会論戦の幕開けとなった。今回の放送では立憲民主党代表・枝野幸男衆議院議員をゲストに迎え、政治ジャーナリストの細川珠生氏が、国会での議論が見込まれる憲法改正等について聞いた。

通常国会が7月に閉会してから3か月以上の期間を空けて論戦が開始されたことについて、枝野氏は「この間、相次ぐ災害障害者雇用の水増し問題日露・日米関係など、色々なことが起き、7月の閉幕以来、国会での論戦の場が無かったことが大変残念」と話し、山積する様々な問題に対して議論が深まっていないとの認識を示した。

細川氏は今国会で入管法(出入国管理法)改正案について議論されることについて、「入管法が改正されれば、外国人労働者の日本滞在のビザが緩和されるが、立憲民主党として外国人労働者の受け入れについてはどの様な考えなのか」と聞いた。

これに対して枝野氏は「『外国人を受け入れれば安く済むからそれで良い』といった考え方は、外国人労働者・日本の双方にとって良くない」と述べ、両者が共に恩恵を受けられるような仕組み作りが必要だと強調した。

さらに細川氏は、「確かに労働者不足が実際深刻な分野もある」とした一方で、「生産性向上も必要で、AIの進出などによって現在の労働者の数が必ずしも必要でなくなるのは明らか」と指摘し、労働者不足の解決と生産性の向上とを同時に進めていくべきだとの考えを示した。

枝野氏もこれに賛同し、「人手を使わずに成果を出す為の努力を進めていくことが必要」と述べ、生産性の向上の為に積極的な投資をしていく姿勢を明らかにした。加えて、「日本人の働くことに対する意識を変えていくことも必要」とした。

例として、「男性だとスーツを着てネクタイを締めて、というイメージの仕事を希望する人が圧倒的に多い」と話し、「しかし、このようなスタイルの仕事は急激に減っていく」と、現状と人々の考えとのミスマッチを指摘した。「人間にしか出来ない分野での人手不足が深刻であるのに対して、希望が集まる職種は人手を必要としなくなっていく」と述べ、このミスマッチを解消するには長い時間を要するとの考えを示した。

今国会では憲法改正についても注目が集まっている。細川氏は、安倍総理が所信表明演説で憲法改正について、各党それぞれ案を出し合って議論することに意欲を見せたことに言及した。その上で、「立憲民主党案として憲法改正案を憲法審査会などに提出する予定はあるのか」と、立憲民主党として憲法改正に対してどのような姿勢を取るのか尋ねた。

枝野氏はこれに対して「その予定はない」と明言した。「今の憲法のどこに不都合があって、どこを変えていくべきなのか。法律を制定することでは解決出来ない問題なのか。そこをはっきりさせたい」と述べ、改憲の必要があるのかどうか、慎重に見極めていく必要があるとの見解を示した。

さらに、「法律では解決出来ず、憲法を改正するしか手段が無い時、初めて改憲の段階に入るべき」とし、改憲が目的化した議論に乗るつもりはないことを強調した。改憲はあくまで問題解決の手段であって、目的であるべきではないのだと言う。

加えて枝野氏は、様々な場面で憲法に絡んで生じる不都合があることにも言及した。「例えば、臨時国会の召集を要求した場合、『何日以内に召集すべき』という規定が無い為、いつまでも先送り出来てしまう。これは解決すべき問題点で、法律で明確に規定すれば解決することもある」と話し、憲法関連の議論に絡めて、法整備や更なる議論を進めることが必要との見解を示した。

また、参議院の一票の格差についても同様に、「憲法改正するかどうかのみならず、参議院の役割や二院制の在り方についての議論が必要で、その結論として改憲があり得るということは否定しない」と話し、やはり改憲が目的となった議論は本末転倒だとの考えを強調した。

これを受けて細川氏は、解散権の制約と憲法との関連についても尋ねた。

枝野氏は「今のままでいいのか、という議論はある」と述べ、現行制度について議論や改善の余地があるとの見解を示した。その上で「どこをどう変えるのか、イギリスやドイツ、カナダといった世界各国での問題点を共有し、検討・研究を重ねた上で初めて改憲が必要かどうか、法律では補えないのか、の議論に入っていくべきだ。」とし、然るべき手順を踏まえて改憲の議論に入るべきとの考えを強調した。

細川氏は、「最初に憲法を改正するという議論でないとすれば、議論はどこですべきなのか」と尋ねた。

それに対して枝野氏は「テーマにもよる」とした上で、憲法審査会に限らず、独立した機関や専門の委員会での具体的な議論が大切、との見解を示した。

さらに改憲に積極的な与党の動きを踏まえて、細川氏が「自民党が改憲案を憲法審査会に提出した場合、審議に応じるつもりか」と聞くと、枝野氏は「自民党の(改憲案の)出し方次第」だと答えた。一方的に提出してくるか、ルールに則って提出し野党と議論しようとする姿勢が与党に見られるか、自民党の態度次第だと言う。

さらに枝野氏は国民投票法についても問題点を指摘した。「国民投票前には民放CMが放送を自主規制する、という約束を前提にしている現行の制度だが、民放連がその方針を変えてきている中、国民投票法自体も整備し直さなければいけない」と話し、改憲の議論の他にも、議論を深めるべき課題が残っている事を指摘した。

また、今国会で野党として力を入れたいことに関して、「与党が憲法改正を野党と円満に議論していく姿勢ならば、公文書の管理などの議論もしていきたい」と述べた。

最後に、細川氏は「総理は丁寧な説明や丁寧な議論というが、進め方が強引なように見える上、国民が一番聞きたい公文書や障害者雇用の問題、消費税増税について所信表明で触れなかった」と指摘し、国民が本当に聞きたいことに応えようとする姿勢が感じられない、との見方を示した。

枝野氏は消費税増税に対して、「格差が拡大して貧困問題も多い中、低所得者の負担が大きくなるような制度」だと述べ、予定通りの増税には大反対との姿勢を示した。細川氏は「国民が困っていることについて発信し、与党に国民の意思を伝えて欲しい」と述べた。

(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2018年10月27日放送の要約です)

 

「細川珠生のモーニングトーク」

ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分

ラジオ日本HP http://www.jorf.co.jp/index.php

細川珠生公式HP http://hosokawatamao.com/

細川珠生ブログ  http://tamao-hosokawa.kireiblog.excite.co.jp/

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この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト

1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。

細川珠生

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