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.政治  投稿日:2019/2/2

「国会改革 IT化、ペーパーレス化進める」萩生田光一衆議院議員


「細川珠生のモーニングトーク」2018年1月19日放送

細川珠生(政治ジャーナリスト)

Japan In-depth編集部(小俣帆南)

【まとめ】

・女性議員の妊娠・出産時の代理投票には問題点もある。

ITを活用した国会でのペーパーレス化を進めるべき。

・出来ることから確実に進めていくことが必要。

 

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=43885でお読み下さい。】

 

自民党は昨年11月8日、国会改革に関するプロジェクトチーム(PTを設置した。今回は、同PTで座長を務める自民党幹事長代行・萩生田光一衆議院議員をゲストに招き、国会改革について政治ジャーナリストの細川珠生氏が話を伺った。

はじめに細川氏は、自民党内に同PTが設置された背景について、超党派の議員連盟「『平成のうちに』衆議院改革実現会議」が昨年10月25日に議員運営委員長に提言を提出したことを取り上げた。その上で、国会改革に関して、自民党内でどのように議論を進めているのか尋ねた。

萩生田氏は「同議員連盟では、座長である小泉進次郎衆議院議員を始めとした若手議員を中心に、国会改革に関して取り組むべきテーマを絞り込み、それを各党に持ち帰って党のコンセンサスを得ようと努力をしている最中」と述べ、その受け皿として自民党内に同PTが置かれたと、設置の背景について述べた。

加えて、萩生田氏は党内PTで取り組むべきテーマとして、ITによるペーパーレス化、及び女性議員の妊娠・出産時の投票のあり方を挙げた。

女性議員の妊娠・出産時の投票あり方について、細川氏は「そもそも女性議員に産休や育休といった規定はあるのか」と尋ねた。

萩生田氏は「議員には産休も育休も無い」と規定が無いことを述べた上で、「申し出れば議長も委員長も休みを取れることにはなっている」という現状を説明した。また、「出産や育児は人によって事情が大いに違う。一概に日数を決めて規定を作るのが良いのか、あるいは規定は作らずに申し出をその都度許可していく方が良いのか」、規則の決め方について男性議員では判断しかねるのだと話し、「現在は党女性局に依頼して、女性議員間での議論を深めている段階」だと述べた。

細川氏は、妊娠・出産時の評決への参加方法についても尋ねた。

萩生田氏は「今はITの時代」とした上で、その技術を活用して「個人にナンバーを事前に配布し、パソコンやスマートフォンなどのタブレット端末による投票を可能にすることを検討している」と話した。

また、「予め代理人に投票を依頼することで、代理人が国会で投票するというのも可能」だと代理投票についても議論を進めていると述べた。一方、「『与党は賛成、野党は反対』といった先入観に基づき、国会での討論を聞くことなしに『賛成に投票して』と決めるのは国民に対して失礼」と述べ、未だ実現していない代理投票については問題点もあることを指摘した。その点を解決する為にも、「投票の間際までリアルタイムで国会討論を聞いた上で意思決定をするといった整備が必要」と、改善の余地があることを述べた。

▲写真 ©Japan In-depth編集部

細川氏は「いずれにしても国会のITは必要」と述べ、未だ多くが紙ベースである資料のIT化も不可欠との見解を示した。一方で「今月28日に召集予定の通常国会では予算審議が優先される見込みであり、国会改革に関する法改正等は平成が終わるまでに間に合わないのではないか」と、『平成のうちに』十分な国会改革が出来ないのではないかと指摘した。

これに対して萩生田氏は「各党の国会対策委員会議院運営委員会の小委員会での議論は既に始まりつつある」とした上で、「国会改革については他議論と並行して継続しつつ、着実に結果を出して欲しい」と、『平成にうちに』国家改革を確実に進めたいとの期待感を示した。

また、細川氏が指摘したように今国会内での法改正には時間がかかると認めた上で、「法改正が必要な国会改革は後に回そうと考えている」と述べた。萩生田氏は、法改正が必要な改革の例として衆議院公報のペーパーレス化を挙げた。「衆議院公報については明治32年に定められた法律を改正する必要がある」とし、法改正等が必要で簡単にペーパーレス化が進まないものに関しては、今取り組むべきことではないとの見解を示した。一方で「衆議院規則の改正だけで済む官報本会議録質問主意書答弁書については簡単にペーパーレス化が可能」だとし、「このようなものに関してはイントラネットに上げ、必要に応じて印刷する」といった仕組みにすることで、予算・人員削減に繋がると話した。

また、細川氏は「今回は衆議院の改革ということで参議院が入っていないが、この点については今後どうなっていくか」と、国会改革における両院の関係について尋ねた。

萩生田氏は「外から見ると両院は共に『国会』と捉えられるかもしれない」としながら、衆議院と参議院には大きな違いがあることを述べた。「ペーパーレスを先に始めたのは参議院で、実際に経費削減という結果も残している。我々のペーパーレス化はその影響を受けて始められた部分もある」とし、参議院でも国会改革の取り組みが始められていることを指摘。その上で「今は衆議院として実現できる改革を出来るところから始めていく。国会での法改正が必要な段階に入ってはじめて参議院との話し合いが必要になる」と述べ、現段階では両院は分離して改革を進めているが、今後も国会改革を進めていく中で両院での議論が必要になるとの見解を示した。

これまでIT化などの国会改革について述べてきた萩生田氏だが、「何でもペーパーレスにすれば良いということでもない」とも述べた。「国会討論が白熱した際、資料を印刷するための時間が展開を変える場合もある」とし、水入りとしての印刷待ちの時間が討論の展開を変えてきた過去の経緯を紹介した。

(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2018年1月19日放送の要約です)

 

「細川珠生のモーニングトーク」

ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分

ラジオ日本HP http://www.jorf.co.jp/index.php

細川珠生公式HP http://hosokawatamao.com/

細川珠生ブログ http://tamao-hosokawa.kireiblog.excite.co.jp/

トップ写真:©Japan In-depth編集部


この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト

1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。

細川珠生

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