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.国際  投稿日:2019/2/28

トランプ、露に対北外交指南仰ぐ?


大原ケイ(英語版権エージェント)

「アメリカ本音通信」

【まとめ】

・2月27日、28日米朝首脳会談、ベトナムで開催。

・去年開催した米朝首脳会談後、実質的成果は上がっていない。

トランプ、米朝首脳会談前に露プーチン大統領に教え乞うた、との報道。

 

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=44392でお読み下さい。】

 

2度目の米朝首脳会談が目前に迫る中、昨年の歴史的な最初の米朝会談の直後にドナルド・トランプ大統領が突然、口にした米韓合同軍事演習を取りやめるという発言の出どころが判明し、関係者やマスコミを驚かせると同時に、今回の首脳会談でもまた爆弾発言が飛び出すのではないかと危惧されている。

2018年6月中旬にシンガポールで行われた米朝首脳会談は、歴史上初めて行われた、ということの他には何ら実質的な成果は上がっていないのが実情だ。国内外のマスコミに注目されるのが大好きなトランプにとって、「歴史上、他の誰もやったことがない」という派手なイベントの魅力は抗い難く、本人は朝鮮戦争の歴史や核兵器の実態に関する知識もなく、外交的手腕もないまま会談に臨み、「little rocket man(小さなロケット男)」「dotard(老いぼれ)」と中傷しあったのも忘れ、旧知の友のようにパフォーマンスをしてみせた。

そしてその後、米国軍関係者やホワイトハウスの外交担当官に何の前触れもなく、さらには韓国側にも一言もないまま、米韓合同軍事演習から手を引くと言って周りを驚かせ、急に演習が中止になったのが8月。あまりにも急なタイミングだった。

ここにきて、実はその発言の出どころはロシアのウラジーミル・プーチン大統領が彼に吹き込んだものだったということが判明した。そして今回の会談を前に再度クレムリン側のアドバイスを乞うた、とロシアのセルゲイ・ラブロブ外相がInterfax紙に語ったことが伝えられている。

▲写真 プーチン大統領 出典:ロシア大統領府

▲写真 セルゲイ・ラブロブ外相 出典:ロシア連邦外務省

ラブロブは具体的なアドバイスの中身については言及を避けたが、前回も北朝鮮の大陸弾道ミサイルの威力についても、北朝鮮はミサイルを米国領内にまで飛ばせる技術は十分にあるとした自国の諜報機関の査定よりも、トランプはそんな力はないと言うプーチンの言葉を信じると語っていたと、前臨時FBI長官のアンドリュー・マケイブも刊行されたばかりの自著The Threatで書いている。

▲写真 アンドリュー・マケイブ氏 出典:Flickr; Federal Bureau of Investigation(FBI)

今回も、トランプが爆弾発言をする可能性は高い。それというのも、国内では彼の女性問題に端を発した大統領選挙中の「口封じ金」の受け渡しをしたと証言する元弁護士(兼用心棒)であるマイケル・コーエンが、3日に渡り上下院の議員に招かれて公聴会で証言をする予定だからだ。このうち2つ目の公聴会は一般公開されるということで、かつてのウォーターゲート事件の時のように、全国民の目が向けられることだろう。

▲写真 マイケル・コーエン氏(左)出典:Flickr; IowaPolitics.com

既にコーエンは、「トランプにはもう何の恩義も感じていない」と語っており、ポルノ女優との関係をもみ消すために代払いした金を支払ってもらった時に受け取ったというトランプの署名入りの小切手などの証拠を持ち込んで、全て包み隠さず話すと言っている。この騒ぎから目を逸らすために、トランプが世界戦争を起こしかねないレベルの爆弾発言をでっち上げることは十分考えられる。アメリカの米軍司令官や外交官は今ごろ戦戦慄慄としているだろう。

トップ写真:金委員長とトランプ大統領  2019年2月27日 出典:Twitter; Dan Scavino Jr.


この記事を書いた人
大原ケイ英語版権エージェント

日本の著書を欧米に売り込むべく孤軍奮闘する英語版権エージェント。ニューヨーク大学の学生だった時はタブロイド新聞の見出しを書くコピーライターを目指していた。

大原ケイ

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