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.国際  投稿日:2019/6/7

富豪のドラ息子ムニューシン  トランプ政権「行く人来る人列伝」その8


大原ケイ(英語版権エージェント)

「アメリカ本音通信」

 

【まとめ】

・米財務長官富豪意識抜けず、夫婦旅行等に政府専用機使い、批判浴びる。

・米中貿易戦争で中国不利主張。移民対策の対メキシコ関税措置に反対。

・トランプ納税書の提出拒否で腰巾着ぶり発揮。自身への刑罰の恐れも。

 

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=46175でお読みください。】

 

スティーブ・ムニューシン(財務長官)

 

ロシア政府との癒着度:                 無し

ドナルド・トランプとの親密度:★★★

任務に対して有能か                   :  ★

任期を全うできそうか               : ★★★

 

 先月ニューヨークのオークションハウス、クリスティーズでジェフ・クーンズの「ラビット(ステンレス製のうさぎの彫刻)」が存命アーティストの作品では史上最高額となる約100億円で落札された。

 

買ったのはロバート・ムニューシンなる初老の男性。現財務長官、スティーブ・ムニューシンの父親だ。今でこそアートディーラーをやっているが、長らくゴールドマン・サックスの役員を務めていた大富豪で、今は息子のことで胸を痛める毎日だろう。

 

息子のスティーブは親の七光りでイェール大学に入り、縁故採用でゴールドマン・サックスに就職し、その後ドナルド・トランプの事業などに投資するヘッジファンドを設立。気ままな富豪のドラ息子として、ハリウッド映画のプロデューサーをやったこともあり、スコットランド出身の二流女優だったルイーズ・リントンという年下のブロンド女性と再々婚した。

 

トランプが大統領に立候補すると、共和党全国委員会とのコネをかわれてトランプ陣営の財務責任者となり、当選後に財務長官として入閣した。一介の役人として月額200万円に達しない給料の身分となっても今さらつましい生活はできないのか、2017年8月、皆既日食の日を狙って平野部に夫婦で旅行するため、テキサス州のフォート・ノックスに政府の専用機で乗り付け、夫人がその飛行機を背景に全身を高級ブランドでかためた自撮り写真をインスタグラムにアップロードしたのが炎上するなどした。

 

そしてムニューシンが財務長官になって初めての新札が印刷された造幣局にも政府専用機を使って記念写真を撮りに行くなどして批判されている。

▲写真 米中貿易交渉。左からライトハイザー米通商代表、ムニューシン米財務長官、中国の劉鶴副首相(2019年5月1日 ワシントンD.C.)
出典:Steven Mnuchin twitter

 

入閣後のムニューシンの今の主な仕事は、中国との貿易戦争によって、関税のツケを払うのは米国民ではなく中国の方だと下院の金融サービス委員会で誤った発言をしたり、オバマ大統領時代に決定した奴隷解放運動家の黒人女性ハリエット・タブマンをあしらった新札の発行を遅れさせたりすることだ。

 

ところが、訪日後にトランプは関税による貿易戦争をメキシコ相手にしかけようとしている。メキシコからの違法移民の流入をストップさせるために6月10日からメキシコからの輸入品全てに5%の関税をかけ、メキシコ側が何らかの移民政策を講じない限り、これを徐々に上げていくと発表した。ムニューシンはこの措置に反対したというが、トランプは聞く耳を持たなかった。

 

そして目下最大の仕事として、絶対に自分の納税歴を知られたくないトランプ大統領に代わって、ムニューシンは下院歳入委員会が国税庁に提出を求めたここ6年のトランプの連邦税の納税書の提出を拒否している。下院委員会の要求を拒否するのは、明らかに憲法違反なので、下院の出方によってはムニューシン自身が罰金刑、あるいは身柄を拘束される可能性もあることを考えると、なかなか素晴らしい腰巾着ぶりだ。

▲トップ写真 スティーブ・ムニューシン米財務長官
出典:米財務省ホームページ


この記事を書いた人
大原ケイ英語版権エージェント

日本の著書を欧米に売り込むべく孤軍奮闘する英語版権エージェント。ニューヨーク大学の学生だった時はタブロイド新聞の見出しを書くコピーライターを目指していた。

大原ケイ

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