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.政治  投稿日:2019/7/9

「埼玉県待ったなし。」大野元裕参議院議員


安倍宏行(Japan In-depth編集長・ジャーナリスト)

編集長が聞く!」

【まとめ】

・大野元裕参議院議員は埼玉県知事選に出馬する。

・少子高齢化など「埼玉県は待ったなし」の状況だ。

・「埼玉版スーパー・シティ構想」でエネルギーの地産地消図りたい。

 

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=46718でお読み下さい。】

 

国民民主党の大野元裕参院議員は6月18日離党、8月25日投開票の埼玉県知事選に無所属で出馬する。知事選にはほかに、参院議員からの転身を目指す行田邦子氏と、自民党が推薦するスポーツライター青島健太氏がいずれも無所属で立候補を表明している。

安倍編集長が大野議員に出馬を決意した理由を聞いた。

 

大野氏:「埼玉県待ったなし」というのが一番大きな理由です。これからの埼玉県は厳しい。1つは少子高齢化。65歳代、75歳代の人口伸び率は埼玉県が2年連続1位です。少子高齢化がものすごいスピードで進んでいる。もう1つは、治安や移管される国保の問題、街づくりなどに対する伝統的な国の政策がもうそろそろ破綻する、という問題。基本的には所得の再配分の問題であり、消費税は2の次だ。1番最初にくるべきは、税金をどう配分するか、それが所得税なのか、消費税なのか、何%なのか、という順番で考えるべきです。これが破綻してしまっていて、インフラの更新すらできるかどうかわからないというのが今の状況。

年金行政も、国が「安心してください」と言っていたのに、国民の多くは昔から不安だと分かりきってしまっている状況で、どこに政治の役割があるのか、と考えたときに、地方の役割があると思った。

国民保険も放っておけば厳しいと思う。社会保障全てにおいて、支える側と支えられる側のバランスが崩れているからだ。所得の再分配や規制緩和とかは国がやることですが、地方ではどうコミュニティをつくるかなどが合わせ技でできる。例えば、上田知事がやった仕事の中に、「スポーツ行動率」をあげるというものがある。高齢者のスポーツ行動率が上がると、統計的に保険料の支払いが下がる。国の政策ではこれはなかなかできないので、これをコミュニティでやることが、自分ができることだと思った。

安倍:提唱している「埼玉版スーパー・シティー構想」とは具体的にどのようなものですか?

大野:少子高齢化が進む中で我々が直面する問題は何かというと、1つは人手がいない。2つ目は、社会保障を支える人たちがいなくなる。3つ目は、高齢者が増えるだけでなく、高齢者の孤立。それから交通難民、買い物難民が増えてくる。そして空き家が増えてコミュニティが成り立たなくなり、その結果行政コストが支えられなくなり、インフラ更新もできなくなる。これらの弊害を一挙に解決する方法はないかと考えてきたが、それが埼玉版スーパー・シティー構想」だった。

▲写真 ©Japan In-depth編集部

安倍:具体的にはどのような構想なのですか?

大野:みんなが住める小さなエリアの中に、食もある住もある、高齢者が住む施設もある、互いに地域内の見守りも、単身の家庭を支えることも、子ども達も育てることができる。これまでなんでできなかったかというと、自分の家を売ってまでそこに住むというメリットがなかったから。

安倍:たしかにそうした「スーパー・シティ」は今までありそうでありませんね。

大野:最近、エネルギーがインセンティブになるのではないかと思いたったのです。家の使っているエネルギーの53%は熱です。発電所が遠くにあると集中して電気を作るから安いが、熱を全部捨てている。モノ作り産業ではエネルギーの80%が熱だから、産業と家、使う時間帯が違うから、学校と老健施設とプールと、みんな一緒にそこに住んでそこの中を熱導管で結ぶと熱は安くなる。暖房費、冷房費が安くなる。六本木ヒルズがそうで、地下に発電所もっているから、(エネルギーコストは)安くはないが合わせ技で、すなわち冷暖房代、温水代などを合わせると安くなる。そういったものをつくっていったらどうかと思っている。かと言っていっぺんにはできないが。

1つ1つの政策を実現しようとするときに、そうした発想を入れこんでの10年間と、何もしない10年間だと全然違うと思う。1つ1つ何かやるときに、なるべく安くすることによって、「合わせ技の発想」を持たないとこれからはだいぶきついなと思っている。

安倍:埼玉の中で何かモデル地区みたいなものを考えているのか?

大野:地域要件によって変わってきます。山の方ならバイオマス発電や水力が使えるだろうし、1番分かりやすいのは、国道122号の日光御成街道の下にINPEX(国際石油開発帝石 )と東京ガスの中圧管が関東で唯一、2本走っているが、そこからとってくればいいのではないか。久喜のあたりは工業地帯がありますから。

インフラコストの高い、歯抜けのベッドタウンにするのか。それとも10年間かけて、手を挙げた市町村にインセンティブを与えるのか。1つの地域特性の方向性を県が示して、市町村が知恵を出し合うのはとても大事だと思っている。

安倍:ところで今4期目の知事が議会との関係がよろしくないが、今後県知事になられたら議会との関係改善に自信は?

大野:議会と執行部、行政は適切な緊張関係がなければならない。ただ、完全に反目しあってはいけない。国会は議員内閣制だから、与党が多数をとっていればその中から総理が選ばれるので1枚岩だが、二元代表制では(議会と首長が)お互いに緊張感を持ちながらもどの会派、どの党とも一定のコミュニケーションをとらないといけない。ただ、もし特定の人たちが自分たちの都合良いように県政をまわそうとする場合には、私もノーと言わないといけない。

安倍:働く世代が安心できる様々なサポートや、地域の治安、高齢者の免許返納などの問題は、地方自治体が率先して住民の為の対策を実施していかねばならない。 

大野:地方自治体もお金があるところとないところで異なる。例えば免許自主返納サポートなど、東京都は様々な割引などがあって手厚いが、東京以外のところだと、70歳以上になっても車がないと生活できない。だから、同時並行的に(高齢者のモビリティにも優しい)「埼玉版スーパー・シティー」の方に寄せて行きたい。そうすれば免許を返納しても大丈夫。でもそれはまではきめ細かい対応が必要だ。埼玉県でも南の方はたぶん車が無くてもなんとかなるかもしれないが、山の方に行くとないとそうはいかない。そういうところは、相談窓口をつくって丁寧に対応していきたい。

大野氏の提唱する「埼玉版スーパー・シティ構想」は、エネルギーの地産地消と効率的な熱消費を核とし、社会が抱える様々な課題を解決しようとする意欲的なものだ。ただし、首長のリーダーシップと、議会、行政が三位一体となり推し進めることが絶対条件だろう。

大野:「埼玉版スーパー・シティー」ができたら、あとは街と街をつなげば良い。長期的に人口が減った時、10年20年かけてインセンティブかけて移住していただく。地域の中で何キロ範囲で活動出来る、というのを示すことができたらいいのではないか。今私が言ったような話はマニフェストには向かない。でもやっぱりきちんとした思想、10年くらいの先を示しておかないと、と思っている。

(インタビューは2019年6月26日に実施)

 

トップ画像:©Japan In-depth編集部


この記事を書いた人
安倍宏行ジャーナリスト/元・フジテレビ報道局 解説委員

1955年12月2日 東京都生まれ(60才)1979年慶応義塾大学経済学部卒業、日産自動車入社(海外輸出・事業企画)、1985年国際大学大学院国際関係学科修士課程卒、1992年フジテレビ入社報道局政経部記者、1998年ニューヨーク支局長、2002年ニュースジャパンキャスター、2003年経済部長、2006年解説委員、2009年BSフジ「プライムニュース」解説キャスター、2013年フジテレビ退社、危機管理コンサルティング会社設立。ウェブメディアJapan in-depth編集長就任。

安倍宏行

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