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.政治  投稿日:2019/8/20

「自由討議はやるべき。」立憲民主党憲法調査会事務局長 山尾志桜里衆議院議員


「細川珠生のモーニングトーク」2019年8月17日放送

細川珠生(政治ジャーナリスト)

Japan In-depth編集部(髙橋十詠)

【まとめ】

憲法を議論し論点を抽出して、国民に対し可視化することが大事。

・一人一人の議員の姿勢を可視化できるやり方を模索している。

・自民党に自由討議を呼びかけている。

 

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=47515でお読みください。】

 

8月15日、日本は74回目の終戦記念日を迎えた。日本の政治は、戦後であるこれからの日本をどうつくっていくのだろうか。

本日は衆議院議員で立憲民主党・憲法調査会事務局長の山尾志桜里(やまおしおり)氏をゲストに迎え、政治ジャーナリストの細川珠生が話を聞いた。

 

まず細川氏は、小学生の息子がいる山尾氏に、戦争のことをどう教えているか聞いた。山尾氏は、「話し合い上手になる」ことと、「努力をしないと戦争は起きてしまうものだ」と伝えることを意識しているという。

山尾氏は自分の子供に対し、「人はひとりひとりみんな違う。でも1人では生きていけない。同じクラス、同じ会社で、違う人と過ごすのだから、喧嘩は必ずおきる。そのときに話し合いで終えることができるのか、殴り合うのか。国同士の殴り合いが戦争。でも国も人の集まりだ。」と話して子供自身に答えを考えさせていることを明かし、話し合って解を求めることの大切さを子供の頃から教えることが重要だとの考えを示した。

次に細川氏は、令和という元号に象徴されてるような「和を以て貴しとなす」という日本人の精神について、変えて行くべきなのかどうか聞いた。

山尾氏はまず、日本が経験して大きな時代の変化について触れた。日本は、大政奉還(1867年)から明治維新の時、封建的な幕藩体制から一気に官僚機構ができ中央集権国家をつくっていった。また、1945年の敗戦を機に天皇大権から国民主権になり、軍事国家が”軍を持たない平和国家”になった、と述べた。このように、様々な価値観を変えてきた日本だが、「これらの変化は全て外圧を受けてからのものであり、自己変革は苦手だ。」と山尾氏は指摘した。

山尾氏はまた、「憲法を変える必要はない」「(変えなくても)困ってない」と主張する人はよくいる、とした上で、現実は、安全保障体制やグローバリズムへの向き合い方、皇室制度など、今立ち向かわなければならない課題を我が国は抱えている、と述べた。

続けて山尾氏は、「憲法は国の根本で、全ての問題が関わってくる。それでもなお、まだ変えなくていい、議論しなくていい、という思考停止状態から脱却する必要があるし、次なる令和の変化は自律的な自己変革でありたい。」と語った。

細川氏は同意した上で、「追い込まれてから致し方なくやっても、それでは本来求めていることにはたどり着かない。自分たちの生活で変えなくてはならないことが実はたくさんあり、それを解決するためにはどうしても憲法の議論が必要。」と述べた。

次に細川氏は、立憲民主党が党としてなかなか動かないことを指摘し、今後どうするのか聞いた。

それについて山尾氏は、「議論の土台をきちっとしたものに作り直そうというのは大事だが、中身の議論も一緒にやればいい。どっちが後先ではなく、国の基本である憲法を議論し論点を抽出して、国民に対し可視化していく。そして、それぞれのメリットとデメリットを挙げ、国民に考えてもらうことが本質的な仕事だと思う。」と、手続き論と実質論、両方をしっかり国民にみせていくべきとの考えを示した。

また、山尾氏は自らが主宰している、市民が憲法の議論ができるイベントについて紹介した。様々な政党の議員を招いてじっくり話し合う場を女性4人でつくり、月一で開催しているという。今月は国民民主党代表の玉木雄一郎氏で、自衛権や憲法について明確に話していた、と述べ、山尾氏は一緒に進めていける希望を感じたという。

細川氏は野党が憲法審査会を開くことを賛成していないという報道があることについても触れた。野党、国民民主党、立憲民主党、それぞれの中の「議論しよう」という人たちが、どのような姿勢なのか。「おそらく野党全部が同じ色ではないという中で進んでいくのかなという期待をするしかない。」と細川氏は述べた。

同意した山尾氏は、加えて「憲法の超党派の議論は、むしろひとりひとりが政党の衣を一回脱いで全国民の代表である一議員として話す、それが本来の超党派の議論だと思う。だからひとりひとりの議員の姿勢を可視化できるやり方はないのかを提起していきたい。」と述べた。

▲写真 ©Japan In-depth編集部

さらに山尾氏は、自由討議をやろうという立場である自民党の、下村博文氏に「自由討議はやるべきだ。しかし自民党は一枚岩になっていない、自民党4項目しか発言できないという議論の場では自由討議ではない。」と伝えたと述べ、自民党との討議に前向きの姿勢を示した。

最後に細川氏は、「憲法はその時々で改正してなくてはならないものであり、1回すればいいということではない。しかし1回もしてないからこれからも、改正しないことにはやはり戦後は終わらないいう気がしてる。」と述べた。

そして、「主権を取り戻す、きちんと持つというのが、子ども達の代に引き継ぐ最も大事なことだと思う。これからも『戦後』という表現がどこまで続くか分からないが、”リスタート”という表現ができるような国になってほしい。」と述べた。

(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2019年8月17日放送の要約です)

 

「細川珠生のモーニングトーク」

ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分

ラジオ日本HP http://www.jorf.co.jp/index.php

細川珠生公式HP http://hosokawatamao.com/

細川珠生ブログ http://tamao-hosokawa.kireiblog.excite.co.jp/

トップ写真:©Japan In-depth編集部


この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト

1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。

細川珠生

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