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.政治  投稿日:2020/1/21

「現政権は説明責任果たすべき」石破茂衆議院議員


細川珠生(政治ジャーナリスト)

Japan In-depth編集部(米田太華志)

「細川珠生のモーニングトーク」2020年1月18日放送

【まとめ】

政権は国民に対する説明責任を果たすべき。

・将来に対する安心感がなければ、個人消費は上向かない。

・社会全体の仕組みを維持できる社会保障制度を作ることが重要。

 

今回のゲストは石破茂(元国務大臣 地方創生・国家戦略特別区域担当)衆議院議員。安倍政権の様々な事象に関する対応、今後の経済政策、次期自民党総裁選について、政治ジャーナリスト細川珠生が話を聞いた。

細川氏は、桜を見る会の対応、ゴーン被告の国外逃亡事件、カジノIR誘致に絡む現職国会議員逮捕事件、現内閣発足後まもなくして菅原一秀前経産大臣、河井克行前法務大臣2名が辞任したこと、河井前法務大臣と妻の河井案里参議院議員が、広島地検から事務所の捜索を受けたことなどを受け、国民の不信感が募る現在の政治状況に対して意見を聞いた。

これに対し石破氏は、「何度選挙やっても小選挙区制だから(現在の与党は)議席がたくさんとれているが、実際投票率は半分に下がっている。そのうち半分が投票してくれれば当選する。30パーセントに満たない得票率で、7割の議席を(与党が)保有している。」と述べ、小選挙区制下の選挙事情について説明した。

又石破氏は、現政権に対し、「大臣が辞めるといったけど説明を行わない。ゴーン被告の海外逃亡で、テロリストがやすやすと出入りできることがわかった。(ゴーンが簡単に逃亡できた)わけを説明してもらわないと困る。IRについてもそうだ。行政は国民全体のもので、国民に説明する責任感が恐ろしく欠けている」と述べ、「将来取り返しのつかないことになりかねない」と現政権運営に対して危機感をあらわにした。

「説明責任と総理は何度も言う。果たしているつもりだろうが、人々は納得していない。人々が納得して、説明責任を果たしたことになるわけで、私は説明した、と言ったところで、それは説明責任を果たしたことにはならない。」と述べ、安倍首相は一連の問題に対し、きちんと国民に説明すべきだとの考えを示した。

細川氏はこれに対し、自民党内で石破氏と同じような指摘をする議員がいるか聞いた。

石破氏はこれに対し、「『はっきりもっと説明するべきだ』という議員はあまりいないが、選挙区をちゃんと回っていればわかるはずだ。」と述べ、現職議員は有権者の声にもっと真摯に耳を傾けるべきだとの考えを示した。

次に細川氏は、国民の政権に対する不信・不満と景気・経済の関係について言及。去年の増税にともなう負担感の緩和策が、オリンピックまでの期限付きである点をあげ、オリンピック終了後に予想される景気への影響に対し、具体的な経済対策は考え得るか聞いた。

石破氏は、GDPの七割を個人消費が占めていることと、過去6年間で個人消費総額がほとんど変わっていないことを指摘。これに対して、株の時価発行総額が約3倍に成長している事実を示した上、経営側と労働側の資産格差が生まれており、個人が貯蓄に走っている現状で個人消費は上がるわけが無い、と述べた。

石破氏は、日本は労働分配率(企業の利益のうち労働者に回る資金の割合)が低いままであると述べた上で、「最近20年間世界同時不況があった中、他の国々は市場を回る商品のクオリティ、つまり生産性をあげて消費を伸ばしてしてきた。それに対し日本は労働者の給料をカットして、下請けを叩く、いわゆるコストカット型の方針を取ってきたものを見直す必要がある」と述べた。細川氏も企業の利益を被雇用者に還元させるような政策を推進することが重要だと述べた。

石破氏は加えて、「21世紀は世界の人口が倍になる一方、日本の人口が半分になっていく時代だ。20年後の日本を考えると、団塊世代の人口がことごとく後期高齢者になっていく。急激に増えていく社会保障制度の負担への対策が、消費税増税だけで本当に足りるのか。」と、現行の社会保障改革は不十分だとの考えを示した。また、「介護、医療、年金制度の仕組みをどう変えていくか、具体的な変更案を示していかなければ、個人消費は上がらない。」と述べ、抜本的な社会保障改革を押し進める事が必要だとの考えを強調した。

▲写真 ©️Japan In-depth編集部

続けて細川氏は、自民党総裁として3期目の安倍首相が、現在党の規定上、連続任期上限であるため残りの任期が1年9ヶ月であることに言及。党内からは、4期目までに延ばしてほしいといった意見が上がっていることに対して石破氏の意見を聞いた。

これに対し石破氏は「なんだってありえる」と返答した上で、「長期政権では、今まで先送りにしてきた政策に対して答えを示せる。つまり国民全員が決して喜ばない政策だが、国の存続に対し必要だと訴えていく長期政権なら意味はある。」と述べた。その上で、憲法改正に対し、「憲法は何も変わらない。ただ、自衛隊が憲法違反であるという学者がいてそれを紹介する教科書がある。それを変えるためにだけに憲法を改正したい、そのための4選だというならそれは違う。」と述べ、安倍首相の4選に注文を付けた。

細川氏は次に、次回の総裁選のテーマとして石破氏が社会保障をあげていく姿勢であるか質問した。

石破氏は「社会の仕組みを変えていかなと国がもたない」と述べ、「国民皆保険というのは世界的に見ても素晴らしい制度だが、現在の制度を維持することは現状的に厳しい。成人病、認知症といった全員がリスクを背負っている疾病にだけ限定し保険適応をしていくとずいぶん変わってくる」と述べ、社会全体の仕組みを維持していくことのできる社会保障制度を作ることが重要だとの考えを示した。

(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2020年1月18日放送の要約です)

 

「細川珠生のモーニングトーク」

ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分

ラジオ日本HP http://www.jorf.co.jp/index.php

細川珠生公式HP http://hosokawatamao.com/

細川珠生ブログ http://tamao-hosokawa.kireiblog.excite.co.jp/

トップ写真:©️Japan In-depth編集部


この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト

1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。

細川珠生

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