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.政治  投稿日:2014/4/5

[清谷信一]<200億円の海自P-1哨戒機>性能も怪しい高コスト機の開発ではなく現有機の近代化を


◆搭載システムの性能も極めて怪しい

哨戒機の「キモ」である搭載システムの性能も極めて怪しい。ソノブイの解析器はNECが開発していたがまともなのが出来ず、米国に泣きついたが米国製のものがリリースされずにカナダ製のものを沖電気がライセンス生産するものを採用した。しかも併せてNEC製のものを採用するようだ。

これは片方をパッシブ、片方をアクティブソナーに使用するためだというが、本来カナダ製のものだけで十分で、NECの救済策である可能性が高い。因みに国産のソノブイはNECと沖電気が作っているが、価格は高く性能が低いため、海自は米国が主催する国際的な演習、リムパックでは米国製のソノブイを使用している。

武器禁輸緩和によってP-1が海外に売れるのではと期待する向きがあるが、全くのイリュージョンである。P-1は調達価格・維持運用費は極めて高く、性能はあまり期待できない。こんなものが海外市場で売れるはずがない。

つけ加えるならばP-1の調達・維持コストが高く、海自は想定していた数のP-1の調達が出来ない可能性が高い。現用のP-3Cですら整備費の不足で、部品の共食い整備を行っている状態で稼働率が低下している。毎年2~3機(400~600億円)のP-1を調達し、更に高いP-1の維持費を確保することは極めて困難だ。

このため延命化したP-3Cとの併用が続くのではないだろうか。この場合2種類の哨戒機を運用することになり、訓練・整備・兵站が二重になりコストが嵩む。

更に海自はネットワーク化や潜水艦の増強、無人機の導入、足らない艦艇乗員の搭乗率の向上など他にも予算のかかるプロジェクトが目白押しだ。結論からいえばP-1開発決定時に筆者が主張したように、開発を断念し、P-3Cの近代化を選ぶべきだった。

 

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