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.政治  投稿日:2019/11/7

「働き方改革で教師の負担軽減を」萩生田光一文科相 上


細川珠生(政治ジャーナリスト)

「細川珠緒モーニングトーク」2019年11月2日放送

 

【まとめ】

・教育現場でのICT環境の導入が急務。

・働き方改革で教師の負担軽減を。

・部活動は学校の活動の一環だが、地域の人材活用も積極的に。

 

今回は、文部科学大臣の萩生田光一氏をゲストに招いた。『細川珠生のいモーニングトーク』では、文部科学大臣が変わる度に新たな大臣が出演しているが、今回も萩生田氏に、教育改革を中心に政治ジャーナリストの細川珠生が話を聞いた。

 

 

まず細川氏は、安倍政権による教育改革の成果を萩生田氏に聞いた。萩生田氏は、「全ての人が豊かな人生を生き抜くために必要な力を身に着けることが出来るよう、全ての教育段階において必要な改革を大胆に行ってきた」と述べた。

 

具体的な改革として、学習指導要領の見直し小学校でのプログラミング教育や外国語教育の充実、いじめの対応にあたる教育委員会の機能強化、即戦力となる人材育成のための専門職の短期大学創設を挙げた。

 

細川氏は「(第2次安倍政権発足から)7年間で当初は必要だと思って始めたことが、時代の変化によってそのままではいけないというものが出てきていると思う。」と述べた。そして、7年間の教育改革を踏まえたうえの課題を聞いた。

 

まず、萩生田氏が挙げたのはICT環境の整備だ。萩生田氏は「Society5.0 という時代が到来」しており、「学校におけるICT環境の整備が急務となっている」との考えを示した。パソコンやタブレット端末は「令和の時代にはなくてはならない教材になってきた」として、整備を進める方針を明らかにした。しかし、「全国の小中学生が1人1台端末を持つことになると、予算的にも大変なものがあるし、通信インフラの整備は文科省だけではなかなか解決できない」として、総務省、経産省も含めた「国全体で子どもたちの学ぶ環境を前に進めていきたい」と述べ、他省庁との連携を目指す考えを示した。

写真)萩生田光一文部科学大臣

©️Japan In-depth編集部

 

続いて萩生田氏が課題として挙げたのが、教師の負担の大きさだ。萩生田氏は「授業以外で(教師の)負担が大きい」ことや「『ブラック業種』と言われ、教員を志す人が減ってしまっている」現状を指摘し、「(教師が)憧れの職業であり続けるためにも、働き方を変えていきたい」と述べた。

 

具体的には、授業以外の事務作業を圧縮するための案として、ICT設備の導入によって保護者との連絡や集金を簡略化することや、スクール・サポート・スタッフを採用することで印刷物の作成の負担を軽減することを挙げた。また、まとまった休暇が取得できるよう、年間を通じた変形労働制を導入する考えを明らかにした。

 

細川氏は平成17年に文科省で教員給与のあり方のワーキンググループの委員を務めていた。その時から先に示したような提言はあったにも関わらず、10年以上経った現在でも未だに実現されていない理由を聞いた 。

 

萩生田氏は「教師という職業は地方公務員の中では特別な職業であり一般の地方公務員と勤務体系が異なる。その中でいかに専門性を担保しながら働き方を変えていくのか、中教審(中央教育審議会)でも慎重な議論をしてもらった。何年か前から話していることが収斂されてきて、この方向でいこうと決まったのがまさにここ(最近)だ。」と述べた。

 

 

細川氏は中学生の部活動について、教師の多忙感につながるだけではなく、過度な運動は子どもたちの体にも負担を与えると指摘し、萩生田氏に今後の部活動の運営について聞いた。

 

萩生田氏は、「放課後の指導そのものは外部の人にやっていただく仕組みも増えてきた。これからも拡大していきたいと思う」として外部指導員の活用に積極的な姿勢を示した。

 

また、「学校の部活動は全て地域の方に任せて良い」という細川氏の意見に対して、萩生田氏は「(部活動は)学校の教育活動の一環という認識だ。顧問の先生には、練習までは参加しなくても良いから、存在はウォッチしてもらいたいと思っている。」という考えを明らかにした。

 

しかし、部活動に必要な人数が確保できていない地域については既に「地域のスポーツクラブにお任せして大変上手な運営をしているところはたくさんあるので、必ずしもこだわらない。結果として子どものため、地域のためになるのであれば、地域のマンパワーも大いに使って頑張ってもらいたいと思う。」と述べた。

 

 

(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2019年11月2日放送の要約です)

 

「細川珠生のモーニングトーク」

ラジオ日本 毎週土曜日午前7時05分~7時20分

ラジオ日本HP http://www.jorf.co.jp/index.php

細川珠生公式HP http://hosokawatamao.com/

細川珠生ブログ http://tamao-hosokawa.kireiblog.excite.co.jp/

 

 

トップ写真)萩生田光一文部科学大臣
©️Japan In-depth編集部


この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト

1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。

細川珠生

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