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.国際  投稿日:2020/3/17

仏、新型ウイルス警戒レベル3


Ulala(ライター・ブロガー)

フランス Ulala の視点」

まとめ】

・仏、新型コロナウイルス警戒レベル、最高の第3段階に引き上げ。

・濃厚接触が多い、握手・ビズ・ハグの習慣の改善が必要。

・遠隔授業によりさらに不平等による学力格差が広がるのでは。

 

フランスのフィリップ首相は14日、警戒レベルを最高の「第3段階」に引き上げることを発表しました。

フランスでは、この72時間で感染者が倍増し、14日には、国内の感染者が前日より約800人増え約4500人に、死者が91人になりました。91人の死者のうち71名が75歳以上ですが、重症患者の50%は60歳未満。年齢にかかわらず警戒は必要です。しかしながら、感染が確認された人のうち、98%の方は無事回復もしています。

第3段階に引き上げられたフランスでは、カフェやレストラン、映画館、ナイトクラブなどの閉鎖が決定されました。しかし、食料品店や薬局、銀行、たばこ店、ガソリンスタンドなど生活に重要な商店は営業を続けられます。交通機関も、本数は減るものの運転は継続され、運賃は月曜日から割引されます。この決定は15日午前0時から実行されるとし、終了期間は未定であり、次の決定が下るまでとされています。また、15日の統一地方選は予定通り行われました。

人々の各行動についても、「感染拡大を遅らせる最善の方法は、人々が一定の距離を保つことだ。外出、特に街をまたぐ旅行を控えるように。」と述べられました。頻繁かつ綿密な手洗いアルコール消毒液の利用握手・ビズ(ほほへのキス)の回避等の感染予防措置を励行しながら、冷静な対応を心がけることは以前から引き続き呼びかけられています。

また、同日、厚生大臣からは新型コロナウイルスに関して、イブプロフェンを服用するべきではないという勧告もでています。

 

■ 町の様子

12日(木曜日)に、エマニュエル・マクロン大統領により、16日(月曜日)から無期限の全国一斉休校を実施すると発表され、また、70歳以上の高齢者に対しては自宅にとどまるよう呼び掛けたことが影響し、13日(金曜日)には、各地で買い物に走り回る人々であふれました。石鹸などはすでに以前に手洗いの呼びかけがあった時点でかなりの量が売れており、今回はそこまで売り切れにはなっていませんでしたが、トイレットペーパーはフランスでも各店で売り切り続出。また、パスタ、小麦粉、冷凍食品を買い求める客も多く各店舗で売り切れ続出。14日(土曜日)の午後には、あらゆる商品がほとんどないスーパーも見られました。

▲写真 売り切れ続出により商品がほぼないスーパーの様子 出典:筆者

13日には美術館、劇場、映画の閉鎖、100人以上の集まりの禁止を発表しましたが、パリでは100人以下の集まりとして許可を受けた第70回目の黄色いベストによるデモは行われました。

14日にレストランに15日午前0時より、レストランやバーなどの閉鎖を決定されましたが、まだ、そのことを知らない人も多いのか、営業している店は多くあり、今後はその徹底をはかることに努力が求められそうです。

 

■ 人々の様子

フランスでは、握手・ビズ・ハグの習慣がありとても濃厚接触が多い文化となっています。そこでそれらの習慣を止めるように勧告が出ていますが、一度身についた習慣をやめるのはとても難しいもの。全体の徹底にはかなりの時間がかかっています。

感染者数が1000人を超えた9日の時点では、「91%はまだビズをし続け、75%はまだ握手をし続けてる」という調査結果もでていました。常連客をもてなすのにはビズの挨拶が一番とするレストランで、「インフルエンザと同じでしょ」と、常連客にハグ・ビズを続ける店主もいました。それでも、街角では、慣れない方法に少し照れながらも肘で挨拶をする姿も見受けられます。

▲写真 ビズイメージ(元アメリカ国防長官 のパネッタ氏と元米国政策防衛長官のフロノイ氏 2012年)出典:Frickr: U.S. Secretary of Defense

しかし、問題は濃厚接触だけでもありません。閉鎖された空間に感染が多く発生するともいわれています。だとしても疑わしい人がいると思ってもなす術はあまりありません。例えば、1週間近くドイツに旅行をしていたアメリカ人が、フランス帰国後は、ずっとだるそうにしていたうえ、咳をしていました。とはいっても、閉鎖された部屋の中で咳する人がいても何ができるでしょうか。マスク文化が定着している日本であれば、「マスクをしてください」とお願いすることも可能でしょう。しかし、マスクをする習慣がないフランスでは考えもつかないことであり、マスクしてくださいと言うことは失礼にもあたりかねません。

咳するときに腕で口を押えるようお願いするか、密閉された空間にならないようにそっと窓を開けるぐらいしか対策できないのです。そういったことを考えると、今回決定が下された学校閉鎖、美術館、劇場、レストランの閉鎖は、一部の人の感染するかもというストレスの解消にもつながるかもしれません。

ちなみに、咳していたアメリカ人はヨーロッパからの入国制限に伴い自国に帰国を急ぎ、咳をしながらアメリカに帰っていきました。

 

■ 学校閉鎖の様子

学校は対応に追われています。4月はじまりで、3月にはカリキュラムもほぼ終わっている予定であった日本とは違い、6月末まで授業が続くフランスでは、ここで授業が中断することは今後の学力にも大きくかかわる死活問題です

この後、高校卒業試験でもあるバカロレアも待っています。そこで、感染がすでに広がっていた他県の学校閉鎖状況を把握し、十分な準備が行われていた学校では、閉鎖が決まった次の日の金曜日の時点で、遠隔授業センターCned (Centre national d’enseignement à distance)、もしくは、各地方のアカデミーが独自に開発したプラットフォームを使用した遠隔授業が行われることが通達されました。この時点で、十分な用意をしていなかった学校では月曜日に会議を行い決定されるところもありますが、ほとんどの学校で今後、遠隔授業が行われることとなります。

しかしながら、地域によっては、クラスの半分がコンピューターもタブレットも持っていない学校もあり、遠隔授業によりさらに不平等による学力格差が広がるのではないかという懸念も出ています。

いずれにせよ、家庭での学習は、親のそうとうな努力が必要とされており、16歳以下のお子さんを持つ親御さんの休業には補償も付きます。フランスのメディアではそんな親御さんたちの奮闘が伝えられています。

 

■ おわりに

WHO(世界保健機関)も新型コロナウイルスの世界的な大流行の中心がヨーロッパになったという認識を示すなか、フランスでもここまでの制限は戦後起こったことがないという状況を、今、なんとか乗り越えようとしているところ。今後、さらにどのようなことが起こるのかはわかりません。まだ第3段階の対策は始まったばかり。筆者のツイッターでも毎日フランスの様子を伝えていきますが、こちらでも今後もフランスの様子を書いていきたいと思います。

写真上3枚、トップ写真:売り切れ続出により商品がほぼないスーパーの様子 出典:筆者


この記事を書いた人
Ulalaライター・ブロガー

日本では大手メーカーでエンジニアとして勤務後、フランスに渡り、パリでWEB関係でプログラマー、システム管理者として勤務。現在は二人の子育ての傍ら、ブログの運営、ライターとして活動中。ほとんど日本人がいない町で、フランス人社会にどっぷり入って生活している体験をふまえたフランスの生活、子育て、教育に関することを中心に書いてます。

Ulala

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