無料会員募集中
.国際  投稿日:2020/6/26

NYで抗体検査受けてみた


柏原雅弘(ニューヨーク在住フリービデオグラファー)

【まとめ】

NY、住宅街では生活が元に戻ったかのように賑わっている。

・ビジネス街は閑散としており、客足が戻らない様子。

・独立記念日の違法花火が全米で打ち上げ、全国で問題に。

 

ニューヨークでは新型コロナウイルスによる影響で、4月に感染者、死者とも全米的にも世界的にも最悪の時を迎えたが、そんなことはもう昔の事のごとく、特に今週に入ってからのニューヨーカーの表情は明るい

コロナ禍がやや落ち着き、毎日5万人以上の人が検査を受けているというのと、検査そのものが予約無しで誰でも受けられるようになったのもあり、先日、近所の検査所に出向いて、検査を受けてみた。

時間帯もあってか、待つ人も5人程度。受付で個人情報を端末に入力すると、いきなり防護服を着た医師に呼ばれた。ちゃんとした本人確認もないまま、いきなり、検査針が腕に突き刺されて小指の先ほどの血液を取られる。続けてPCR検査。全部で10分もかかっていない。帰宅して妻に「すごく簡単だったよ」と告げると、妻は翌日、検査を同じ検査所に受けに行った。しかし、当然のごとく本人確認、身長、体重、既往症も含め、家族構成や遺伝に関することなど根堀葉掘り聞かれたらしく「全然簡単じゃなかった」という。知人は「人を見て決めるんじゃないの?」と冗談めかして言う。

ちなみに結果だが、自分も妻も共に陰性、抗体は持っていなかった。

ニューヨーク市は6/22からフェーズ2と呼ばれる第2段階の業務解禁/再開状態に入った。フェーズ1の時は第1次産業の解禁と限定付きで小売業が再開されたが、フェーズ2は市民生活に密着した、レストランやお店などの小売業、理髪・ヘアサロン関係、通常のオフィスなどの再開である。

だが、レストランは店の外に特別席を設けた営業のみ許可され、その他、お客と対面する業務なども定員など制限付きである。

▲写真 レストラン脇の道路にテーブル席のスペースの囲いを作る業者 出典:著者撮影

私の住む地域は住宅街のため、営業を再開したレストラン、バーも多く、一見して、もうすべて生活が元に戻ったかのような賑やかさだ。レストランは店内の営業が認められず、店外に設置したテーブルの営業のみなので、外から見ると、かえって店内が満席であるかのような印象を与え、夕方は週末のような賑わいだ。

ヘアサロンの賑わいも相当なものだ。

私も3ヶ月、髪を切っていないので元がちぢれ髪であることもあって爆発状態である。しかも、すでに3月下旬に伸び放題だった髪を切りに床屋に行こうとしていた直後、床屋が営業禁止となったため、爆発を通り越し、後ろで髪が結える状態になっている。

仕事で出向いたビジネス街に行くと、様相は一変した。

通常運転が再開された地下鉄は見た目の乗車率は20%〜30%程度。街も想像よりは閑散としている。

▲写真 昼間なのにまだ人もまばらな地下鉄の駅 出典:著者撮影

多くの人が出歩くはずの昼食時もそこにおいては人もまばら。レストラン関係も通常どおりの客足が戻らないと見え、せっかく客を迎えての営業が許可されても、開いていない店が多数だ。

フェーズ1で職場復帰した労働者はおよそ、40万人。フェーズ2に至って、仕事に戻ってくる人たちはさらに15万~30万と言われたが、住宅地域の賑わいを見て、すべてが元に戻ったかのような錯覚を起こしてしまいそうだが、実際はコロナ禍以前に出勤していた人の数には遠く及ばない。

日常が戻ってきたかのように見えるが、その後待ち受ける現実は厳しいのは皆承知していると思う。しかし、それがかりそめのものであるとわかっていても、現実から逃避して、身を任せてしまいたくなる。

▲写真 有名日本食レストランの外部に設置されたテーブル席 出典:著者撮影

7月1日からは待望のビーチが開かれることになった。5月最後のメモリアルデーに解禁の動きがあったが、満を持しての海開きだ。だがこちらも家族単位などに限られ、友人などと同じグループで砂浜には座れない。それぞれのグループは互いに最低3メートル以上、間を開けることが求められている。

ニューヨーク州は全米でも数少ない、コロナ禍に対して徹底した対応を取ってうまく行っている州の一つだ。

先日、ニューヨーク州と隣接するニュージャージー州、コネチカット州の各知事は、新型コロナの流行州から人がそれら3州に到着した場合、14日間の自主隔離を命ずる行政命令を発表した。この法令はすでに発効し、違反者には初回2000ドル、2回め5000ドル、それ以降は1万ドルの罰金が課される。検問が設けられるわけではないが、いざ、違反が発覚した場合には大変なペナルティーとなる。ここまで来た努力を無駄にしたくない。これは地域市民の総意であると思う。ほぼ3週間前、フロリダやテキサスなど、家篭りを我慢できずにビーチなどを再開してしまった州はどこも例外なく、以前より感染者の数を増やしている。州間の人の移動に対して制限を設けるのは3ヶ月前、フロリダ州がニューヨーク州に対して行った措置でもある。

まもなく迎える7月の最初の土曜日には1年で最大にして一番華やかな祝日、独立記念日が待ち構えている。この日をどれだけ多くの人が楽しみにしているだろう。

いつもの年ならば、多くのイベントがあり、文字通りのお祭りで、家族や友人と心置きなくそれぞれが夏の1日を楽しむ祝日であるが、今年はかなり様相が違うものになりそうだ。

▲写真 5月25日に解禁された各地のビーチ。写真の場所すべてで、今までにない数の感染者が出ている(筆者のフェイスブックより)

有名な独立記念日の花火はいつもの年ならば市の川沿い4~5ヶ所からコンピューター制御された花火が同時に打ち上げられ、人々は思い思いの場所から鑑賞するが、今年は多くの人が集まるのを避けるため、なんと、地上380メートルの高さのエンパイアステートビルから打ち上げられることになった。花火はさらに1000フィート(約300メートル)の高さに打ち上げられ、東京スカイツリーとほぼ同じ高さ(634m)に到達することになる。ニューヨークのかなり遠くの場所からも見えることだろう。

他方、連日のように住宅街で打ち上げられる花火がかなり問題になっている。毎晩数千件の通報があり、しかもそれは深夜に及ぶ。ニューヨーク州では大小問わず、花火の使用はすべて違法となる。

私の住居でも夜中の12時、1時に花火が上がり、知人の住むエリアでは、それが朝の4時くらいまで続くこともあるという。ブロンクスの住宅街では、開けていた窓から花火が飛び込み、幼い子どもがやけどを負った。デブラシオ市長は事態を重視、専任の調査チームを立ち上げ、違法花火を提供・使用した者の逮捕に繋がる情報提供者には1000ドルの賞金が支払われるという。

▲写真 ツイッターに投稿された、違法に花火を打ち上げる動画(キャプチャー画面)

この違法花火、全米的な傾向であり、全国で問題になっている。

長引く家篭りや失業や、生活苦で、若い人たちを中心としたストレスが溜まってきているのは想像できる。

落ち着いてきたかにも見えるニューヨークのコロナ禍だが、雰囲気が明るくなってきた分、見えなくなってきている問題も多いと思う。身近なところでは、我が家も含め、秋にまで対策が持ち越しとなってしまった、学校の再開と子供の教育。以前ほど多くは語られなくなった家庭内暴力、薬物中毒、そして失業問題。急に、マスコミの話題から遠ざかってきつつある人種差別問題

今は、気持ちだけでも上を向いていないと、すぐにどん底に突き落とされてしまうような恐怖を覚える。

▲動画 「コロナとNY 業務解禁フェーズ2に突入」(Japan In-depth Youtubeより)

トップ写真:レストラン脇の道路に作られたテーブルスペース 出典:著者撮影


この記事を書いた人
柏原雅弘ニューヨーク在住フリービデオグラファー

1962年東京生まれ。業務映画制作会社撮影部勤務の後、1989年渡米。日系プロダクション勤務後、1997年に独立。以降フリー。在京各局のバラエティー番組の撮影からスポーツの中継、ニュース、ドキュメンタリーの撮影をこなす。小学生の男児と2歳の女児がいる。

柏原雅弘

copyright2014-"ABE,Inc. 2014 All rights reserved.No reproduction or republication without written permission."