「次期政権、安倍外交の継続が重要」自民党幹事長代行稲田朋美衆議院議員
細川珠生(政治ジャーナリスト)
「細川珠生モーニングトーク」2020年9月5日放送
Japan In-depth編集部(淺沼慶子)
【まとめ】
・国民とのすれ違いを解消していく必要がある。
・感染症対策を緩和していくことで経済の復活を狙うべき。
・安倍政権の対中国外交は維持すべき。
安倍晋三内閣総理大臣が2020年8月28日の記者会見にて持病(潰瘍性大腸炎)の悪化など体調不良を理由に辞任を表明した。9月14日の自民党総裁選レースが佳境を迎える中、政治ジャーナリスト細川珠生が自民党幹事長代行の稲田朋美衆議院議員に話を聞いた。
初めに細川氏は安倍総理の突然の辞任表明に触れ、稲田氏は予測していたのか質問した。これに対して稲田氏は「実は全く予測をしておらず、むしろ記者会見でこれからも頑張るという意思表明をされるとばっかり思っていたので、非常に驚いた」と述べた。
一方で、細川氏の「体調が悪い様子は感じていたのか?」との質問に対し、稲田氏は、最近2週間に1度のペースで官邸に行っていたとした上で「8月の3日と14日に伺った時に、7月の時と違って少し元気がなく、痩せていたので心配していた」と述べ、8月上旬に安倍首相の健康面に懸念を抱いていたことを明らかにした。
一方で稲田氏は「総理自身も持病が再発して新しい薬を投与するんだとか具体的なことをおっしゃっていたし、8月17日電話で話した時は随分元気そうだったので、大丈夫かなと思った」と述べ、党内の重職にあっても辞任は予想外だったことを強調した。
次に細川氏は次期総裁選で、党員投票を採用しないことが決まったことについて、「開かれた自民党」というイメージから離れてしまったことや、内閣支持率の低下は国民の思いと離れてしまっていたことが原因だとし、その上で「国民である党員の意思を確認しながら進めていくことが必要だった」と述べ、稲田氏の考えを聞いた。
稲田氏は「党員は総理を選ぶ権利という大きな権限を持っていて、それを制限されることは党員にとって問題だ」と述べ、細川氏に同意した。
実際に地元の後援会長から批判の声が上がっていることや、女性議連が提言を出したり、二階幹事長に話をしに行ったりしたことを紹介した。
最終的に総裁選は、両院議員総会に加えて地方票を各県連、3票をカウントすることになったが、その理由を細川氏が質すと、稲田氏は、「これまで総裁が任期途中で辞めた場合の総裁選は全て両院議員総会で行われてきた」と過去の経緯を説明した上で、「(党の)総務会でも議論があって、最終的に両院議員総会+地方票を各県連、3票ということになった。その経過をしっかり国民にも説明する必要がある」と述べた。
細川氏が稲田氏自身はこの決定に納得しているのか聞くと、稲田氏は「執行部の一員なので役員会、総務会で決まった以上、納得している」と述べた。
またさらに細川氏は稲田氏が総裁選に出馬を検討していたことに触れ、菅官房長官を支持するとした派閥の決定に関しどう考えているのか聞いた。
これに対して稲田氏は、派閥の決定なので支持すると述べた上で、自身がリーダーを目指すことに関しては「女性がいないと言われる日本の民主主義政治において、チャレンジしていきたい」と意欲を示した。
▲写真 ⒸJapan In-depth編集部
次に細川氏は日本の新型コロナウイルスに対する感染症対策が迷走したこと、他国に比べても厳重であることや、それによって経済に悪影響が生じていることについて触れ、出入国の際の自粛期間の緩和など、海外との窓口を開ける検討をしてもいいのではないか、と聞いた。
稲田氏は「感染症対策もある程度緩和していかないと経済が死んでしまう。今日PCR検査が陰性でも明日は陽性かもしれないという状況はいつまで経ってもそうだ。海外から来られる方や、観光、ビジネス、留学生など、そこはもう緩和していかないと駄目だ」と述べ、感染症対策の緩和が必要との考えを示した。
次に細川氏は悪化する米中関係についての考えを聞いた。
稲田氏は、「これまで安倍総理は習近平氏に対してウイグルの人権問題や、邦人拘束の問題、東シナ海のことなど、言うべきことは言ってきた」と述べ、その外交姿勢を評価した。
次期総理に関しては「その路線はしっかりと引き継がないと、厳しい安全保障環境の中で、外交的にも、防衛的にも日本を守っていくことはできない」と語り、安倍外交の継続が重要だとの考えを示した。
これに対して細川氏は菅氏は長い間安倍政権で官房長官という職についていたが、今まで自分の政策を述べてこなかった事を指摘し、稲田氏に安心して菅氏に国政を任せられるのか、聞いた。
これに対して稲田氏は、「菅氏は言葉は少ないが、言うべきことは言う人物だ」と述べた上で「総理と二人三脚で様々な外交課題を乗り越えてきたので、対中国についても任せることができると信じている」と述べた。
最後に細川氏は「女性議員として、女性の発想で女性の意見が届くような活躍を期待する」と稲田氏に対し期待感を示した。
(この記事はラジオ日本「細川珠生のモーニングトーク」2020年9月5日放送の要約です)
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この記事を書いた人
細川珠生政治ジャーナリスト
1991年聖心女子大学卒。米・ペパーダイン大学政治学部留学。1995年「娘のいいぶん~ガンコ親父にうまく育てられる法」で第15回日本文芸大賞女流文学新人賞受賞。「細川珠生のモーニングトーク」(ラジオ日本、毎土7時5分)は現在放送20年目。2004年~2011年まで品川区教育委員。文部科学省、国土交通省、警察庁等の審議会等委員を歴任。星槎大学非常勤講師(現代政治論)。著書「自治体の挑戦」他多数。日本舞踊岩井流師範。熊本藩主・細川家の末裔。カトリック信者で洗礼名はガラシャ。政治評論家・故・細川隆一郎は父、故・細川隆元は大叔父。