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.国際  投稿日:2023/2/7

「腐敗認識指数」2022年版


中村悦二(フリージャーナリスト)

 

【まとめ】

・NGOトランスペアレンシー・インターナショナルが、2022年世界「腐敗認識指数」を発表。

・政治家・公務員の権限乱用による私的利得がない国を100として順位付けしたもの。

・日本は73でベルギー・英国と並び18位、アジア最下位は北朝鮮。全体最下位はソマリア。

ドイツのベルリンに事務局をおく非営利組織(NGO)トランスペアレンシー・インターナショナル(Transparency International, https://transparency.org)は先月末、2022年の世界180か国のCorruption Perceptions Index(腐敗状況を示す認識指数)を発表した。

この指数は、企業による政治家・公務員の買収を含め、政治家・公務員による付与された権限乱用による私的利得がない国を100、最もひどい国をゼロとし、順位付けしたもの。汚職という観点から世界を見渡すことができ、腐敗防止効果をめざしている。

それによると、上位5位は上から、90のデンマーク、87のフィンランドとニュージーランド、84のノルウエー、83のシンガポールとスウエーデン(2021年の上位5位は、88のデンマーク・フィンランド・ニュージーランド、85のノルウエー・シンガポール・スウエーデン)。以下、82のスイス、80のオランダ、79のドイツ、77のアイルランドとルクセンブルグ、76の香港、75の豪州、74のカナダ・エストニア・アイスランド・ウルグアイと続き、日本は73でベルギー・英国と並び18位だ。

3分の2の国が50以下。155か国は有意な進展なし、または度合い悪化、という。

最下位10か国は、17のブルンジ・赤道ギニア・ハイチ・北朝鮮・リビア、16のイエメン、14のベネズエラ、13の南スーダン・シリア、12のソマリアとなっている。

図)腐敗認識指数2022

出典)Corruption Perceptions Index 2022

戦闘状態にあるロシアとウクライナはそれぞれ28の137位、33の116位。ウクライナはロシアの侵攻を受け戦っているが、汚職という観点からはロシアと似通っている。

アジアでは、最下位の北朝鮮に次ぎランクが低いのは、23で157位のミヤンマー、24で150位のカンボジアとアフガニスタン、25で147位のバングラデシュ、27で140位のパキスタン、31で126位のラオス、33で116位のモンゴルとフィリピンと続く。さらに34で110位のインドネシアとネパール。1980年代から外資誘致で経済成長を遂げたタイは、外貨不足で揺れたスリランカと同じ36で101位。

人口世界一で入れ替わったとされるインドが40で85位、中国が45で65位。その間に42で77位のベトナムがいる。

マレーシアでは、ナジブ・ラザク首相時の2016年に政府系ファンドの1MDBを巡る世界で最大級とされた不正資金スキャンダルが起きており、ラザク元首相は現在獄中にある。汚職騒動は相変わらずで、昨年11月の総選挙で希望連盟(PH)を率い勝利し首相の座に就いたアンワル・イブラヒム首相は副首相に汚職疑惑で起訴されたアフマド・ザヒド・ハミディ国民戦線(BN)議長を副首相に据えて連立政権としている(もう一人の副首相はサバとサラワク州からの枠で選出)。そのマレーシアは47の61位だ。

韓国は63でイスラエルと並び31位。ヒマラヤの小国ブータンは台湾と並び68で25位につけている。

北米および中南米では前述のように、上位はカナダとウルグアイが74で14位、米国が69で24位、チリが67で27位、コスタリカが54で48位となっている。しかし、大国のブラジル・アルゼンチンは38で94位、メキシコは31で126位、ベネズエラに至っては14で177位だ。

まだ触れていない欧州の国では、フランスが72で21位、オーストリアが71で22位、ポルトガルとリトアニアが62で33位、スペインが60で35位、ラトビアが59で39位。チェコ・ジョージア・イタリア・スロベニアが56で41位、ポーランドが55で45位、スロバキアが53で49位、ギリシアが52で51位などとなっている。ハンガリーは42の77位だ。

中東・中東アフリカでは、イスラエルが63で31位であることはすでに言及した。次いで、アラブ首長国連邦(UAE)が67で27位、カタールが58で40位、サウジアラビアが51で54位。ヨルダンが47で61位、バーレーンが44で69位。低位は、トルコが36で101位、エジプトが30で130位、イランが25で147位、レバノンが24で150位。シリアは既述のように下から2番目の13で178位だ。

アフリカでは、ガーナ・セネガル・南アフリカが43で72位、ブルキナファソが42で77位。チュニジアが40で85位、エチオピア・モロッコ・タンザニアが38で94位、コートジボワールとレソトが37で99位、シエラレオネが34で110位、アルゼリアとアンゴラが33で116位、ザンビアが33で116位、ケニアとニジェールが32で123位と続く。ナイジェリアが24で150位、ジンバブエが23で157位、スーダンが22で162位、コンゴが21で164位、コンゴ民主共和国が20で166位、リビアが17で171位、イエメンが16で176位、南スーダンが既述のシリアと同じ13で178位、ソマリアが12で最下位の180となっている。

トップ写真:北朝鮮平壌、メーデースタジアムのアリラン祭(2011 年 9 月 14 日)

出典:Photo by Mark Edward Harris/Getty Images




この記事を書いた人
中村悦二フリージャーナリスト

1971年3月東京外国語大学ヒンディー語科卒。同年4月日刊工業新聞社入社。編集局国際部、政経部などを経て、ロサンゼルス支局長、シンガポール支局長。経済企画庁(現内閣府)、外務省を担当。国連・世界食糧計画(WFP)日本事務所広報アドバイザー、月刊誌「原子力eye」編集長、同「工業材料」編集長などを歴任。共著に『マイクロソフトの真実』、『マルチメディアが教育を変える-米国情報産業の狙うもの』(いずれも日刊工業新聞社刊)


 

中村悦二

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