陸自新型車両用迷彩ネットを採用
清谷信一(防衛ジャーナリスト)
【まとめ】
・陸自は次世代迷彩ネットとして、イスラエル製ULCANS kitを採用し、2024年度から本格装備化を開始した。
・このネットは多波長に対応し、リバーシブル仕様で、用途に応じて3種類の迷彩パターンがある。
・ 現在は輸入加工だが、将来は布地からの生産を検討し、個人用迷彩ポンチョも試験中である。
日本エヤークラフトサプライ株式会社は5月21~23日にわたって幕張メッセで行われた武器見本市、DSEI Japan 2025において、陸上自衛隊に車両用の次世代偽装網としてイスラエルのファイブロテックス社の迷彩ネットであるULCANS kit(ウルカンズキット)の供給を開始したことを明らかにした。ファイブロテックス社の迷彩ネットは米陸軍で制式偽装網として採用されている。
陸自は装甲車両などの迷彩にサーブ社のバラキューダネットを太陽工業がライセンス生産したものを使用してきたが、その更新となる。
陸自は2016年にRFI (Request For Information:情報提供依頼)を発行し、10社以上が提案書を提出、その後ファイブロテックス社、サーブ社、他1社の3社に絞られ、2018年に約20億円をかけた4か月にわたる製品試験を経て、同年10月にファイブロテックス社の製品が正式採用となった。その後、日本国内では3年にわたって試験が行われ、「多重電磁波偽装網セット」の名称で採用された。令和6年度から装備化となっている。
「多重電磁波偽装網セット」は紫外線、可視光線、近赤外線、短波赤外線、中赤外線、遠赤外線、レーダーによる探知を阻害する。
MEDSには我が国の植生に合わせたパターンが採用されている。ネットはリバーシブルとなっており、A:森林/市街地、B:砂れき地/市街地、C:砂れき地/積雪地帯の3種類となっている。契約金額は、2023年度は約5億円、2024年度は約92億円となっている。サイズは6800x6800mmの1号から20,400x17,000mmの5号まで5種類が採用されている。

森林/市街地用@筆者提供

砂れき地/市街地用@筆者提供

砂れき地/積雪地帯用@筆者提供
現在同社では布地をメーカーから輸入し、加工して納品しているが、将来的には布地からライセンス生産を行うことを検討している。
現在同社では同じ素材を使用した個人用迷彩ポンチョを陸自に提案しており、現在富士学校および水陸機動団で評価中である。


個人用迷彩ポンチョ@筆者提供
なお同社は2025年度から調達が開始される共通戦術装輪車の派生型である、偵察戦闘型に搭載されているエルビット・システムズ社の光学電子センサーシステムMRSS(Multi-Sensor Reconnaissance and Surveillance System )のシステム統合も担当している。
トップ写真:砂れき地/市街地用多重電磁波偽装網セット
出典:筆者提供
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この記事を書いた人
清谷信一防衛ジャーナリスト
1962年生 防衛ジャーナリスト 作家。日本ペンクラブ会員。
2003~08年まで英国の軍事専門誌『ジェーンズ・ディフェン
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