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.社会  投稿日:2013/10/1

[石川和男]親に介護が必要となった場合、自分に介護が必要となった場合


石川和男(NPO法人社会保障経済研究所理事長、東京財団上席研究員)

執筆記事プロフィールWebTwitter

今の日本はすでに長寿社会である。将来の日本はもっと長寿社会になる。そこに子どもの数が少なくなっていることが重なっている。これが少子高齢社会だ。高齢者が増えれば、「介護」の世話になる人が増えていく。先ず親を介護する側に立ち、次に自分が介護される側に立つ。そういう人がこれから増えていくことになる。

親に介護が必要となった場合、自分に介護が必要となった場合、どのような介護を望むのだろうか?厚生労働省がこんなテーマの調査を行った。

それによると、親に介護が必要になった場合の家族としての希望と、自分に介護が必要になった場合の本人としての希望について、それぞれ次のような調査結果になっている。

家族としての希望では、「自宅で家族の介護と外部の介護サービスを組み合わせて介護を受けさせたい」が49%、「家族に依存せずに生活できるような介護サービスがあれば自宅で介護を受けさせたい」が27%であった。

本人としての希望では、「家族に依存せずに生活できるような介護サービスがあれば自宅で介護を受けたい」が46%、「自宅で家族の介護と外部の介護サービスを組み合わせて介護を受けたい」が24%であった。

ひとくちに「介護」といっても、様々な種類がある。特別養護老人ホームや老健施設に入所し、そこに居住するような「施設系」もあれば、近所のデイサービスに通ったり、自宅で訪問介護を受ける「在宅系」もある。

上記の厚労省調査からすると、施設系よりも在宅系の介護の方に高いニーズがあるようだ。本人、家族のいずれも「自宅で家族中心に介護を受けたい・受けさせたい」が少ないのは意外だと思う人は多いかもしれない。しかし実際には、家族の無償サービスによる介護よりも、外部の有償サービスによる介護のほうが、介護する側も介護される側も望ましいと考えているようだ。

自分に置き換えて考えてみると、なるほどその通りと思う。親の介護のために仕事に就けない、仕事を辞めなければならない ―― 「介護離職」がもう一つの社会問題になっている。子どもが年老いた親の面倒を見るのは当然だ。しかし、面倒を見る方法はよくよく考えないといけない。

自分が年老いた時でも、子どもの近くにいたいと思うだろう。だが、年老いた親に四六時中付き添わせるのは、子どもの人生を奪うことになる。子どもには自分の人生を謳歌してもらいたい。今の自分がそうであるように。

タグ石川和男

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