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.国際  投稿日:2014/10/13

[宮家邦彦]【香港学生デモ幕引き始まる?】~“親北京工作部隊”に動きか?~


宮家邦彦(立命館大学 客員教授/外交政策研究所代表)

「宮家邦彦の外交・安保カレンダー(10月13-19日)」

執筆記事プロフィールblogWeb

 

今週は欧州を中心に様々な動きがある。16-17日にミラノで開かれるASEM首脳会議では日露首脳レベルの非公式接触があるらしい。この種の接触・会合は11月10-11日の北京APEC首脳会議でも続けられるという。現時点ではこうした会談を重ねていくしかないのだろう。この点は仏、独首脳についても同様だと思われる。

中東関係では、14日にEUのアシュトン上級代表がウイーンでイラン外相と会談する。翌日にはケリー米国務長官も合流するらしい。イランに関する核協議は確か11月24日が新たな交渉期限だったはずだ。先週のIAEAとの協議でも進展がなかったので、今回が事実上最後のハイレベルの交渉となるかもしれないが、見通しは暗い。

イラン核疑惑をめぐる交渉決裂は目に見えている。イランはウラン濃縮を放棄する気がないし、欧米側もイランが放棄しない限り満足しないからだ。一回目は交渉期限を延長して何とか誤魔化したが、今回はそうはいかない。イランはISIS問題で米国が譲歩するとでも思ったのだろうか。狐と狸はお互いに簡単には騙されないだろう。

今週は英国の労働組合が忙しく、医療労働者、British Councilなどの組合がストやデモを行うそうだ。シリアでクルド人がISISに攻撃され、トルコとの国境が大騒ぎになっているというのに、欧州はこんなことばかりやっている。本当にご苦労様なことだ。ところで、シリアでの空爆は、予想通り、全く特効薬になっていない。

予想通りといえば、香港について先週あるコラムに「香港当局に当事者能力はなく、今回民主化要求は実現しない。北京は学生排除のチャンスを狙っているが、学生もそうさせないよう分別ある行動を続けている」、「実力排除のチャンスはいずれ学生の誤算や絶望または親北京秘密分子による不安定の中から生まれるだろう」と書いた。

13日、香港ではデモを続ける学生らとデモ反対派が衝突したという。報道によれば同日午後、約100人のデモ反対派が市内中心部の金鐘に集まり、民主派が構築したバリケードを撤去しようとし、デモ隊ともみ合いになったそうだ。どうやら、「親北京工作部隊」が動き出したのかもしれない。香港ではそろそろ幕引きが始まるのだろうか。今週はこのくらいにしておこう。いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。

http://www.canon-igs.org/blog/security/

 

 

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