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IT/メディア  投稿日:2014/12/1

[Japan In-depth編集部]【新しいウェブメディアの文化を構築】~ハフポス日本版新編集長の決意~ 日本外国特派員協会 朝会


(注:この講演は、2014年10月7日に行われたものです)

Japan In-depth 編集部(Kiso)

 

前任の松浦茂樹編集長の退任を受け、国際的な軍事専門誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」で東京特派員を務めていたジャーナリストの高橋浩祐氏が、「ハフィントンポスト日本版」の新編集長に就任し、日本外国特派員協会(FCCJ)ゲスト登壇した。

ハフィントンポストは、2005年に米国で創設され、ニュース、ブログをベースに、ユーザーが意見を交換する参加型コミュニティとなっているのが最大の特徴で、FacebookやTwitterなどソーシャルメディアと連携し、現在では全世界11カ国に展開、各地方紙と提携を行っている。いまや、全米の訪問者数がニューヨークタイムズを超え、全米No.1のニュースサイトとなっている。

昨年日本へ上陸を果たした、ハフィントンポスト日本版は開始から1年で月間PV(ページビュー:ウェブサイト内の特定のページが開かれた回数)6000万、UV(ユニークビュー:訪問者数)1300万のサイトに成長している(2014年9月)。

そうした中、高橋氏は、日本における市民活動とその発信力の弱さに言及し、「ハフィントンポストにはシビック・ジャーナリズムの力がある。それは、実際の暮らしの場で起きている社会問題を市民の視点から掘り起こすもので、日本で様々な問題を抱える市民に発信と議論の場を提供し、解決を助ける役割を担いたい。」と語った。

また、高橋氏は、ハフィントンポスト日本版の強さを大きく三分割し、

「SPLASH・INDEPENDENT・SOCIAL」と述べた。大きな写真、画像と見出しで訪問者の興味を誘い、そのコンテンツはオリジナルであり、多方面の著者からの寄稿、ブログなどにより成り立つ。朝日新聞など日本に限らない、特色豊かな地方出身のジャーナリストに支えられ、伝統的なジャーナリズムと多様性に富むのが特徴だと強調した。

そして、訪問者の30%がFacebookやTwitterをはじめとするソーシャルメディアからサイトへ訪れるというソーシャル性についても述べた。加えて、先日のスコットランドの独立選挙報道を例にあげ、全世界各地の各地方紙と提携したことを挙げ、その国際的な取材力も強さの一つ、と述べた。

ただ、ハフポストを取り巻く環境は決して良くはない。既存のYahooやGoogleのウェブニュースサイトに加え、五大紙による電子新聞への取り組み強化、無料キュレーションアプリによる多額の販促強化とその効果にみる収益構造の不安定さなど、周辺の競争環境は変化し続けている。

そうした中、高橋氏は、新体制下の戦略として、「今後は、データジャーナリズムにはじまるように、デジタルの速報性と、独自性を追求していきたい。日本ではキュレーションアプリが流行し、携帯電話、スマートフォンからのアクセスも非常に多い。そのため、特に若者世代へ向けて、写真やビデオコンテンツなどビジュアル要素にも力を入れるつもりだ。そして何より広告など収益構造を確立するべく、各界優秀なアナリストの下、市場のトレンドを分析し、ブランドイメージを創出することが急務である。」と述べた。

特に、ウェブメディアにとって大きな課題である収益モデルについて高橋氏は、Native Ads.(注1)の可能性について触れ、トヨタなど大企業などがスポンサーである記事広告を積極的に掲載していく方針も明らかにした。

この「ハフポスモデル」で、これからのウェブメディア間の競争にどう勝ち抜いていくのか、高橋新体制に注目が集まる。

 

(注1)Native Ads. メディアもしくはサービスの中で記事と広告を自然に溶け込ませ、ユーザーに違和感なく情報を届ける広告

 

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