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国際  投稿日:2016/2/16

米・東南アジア外交動く ASEAN首脳、加州に招待

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宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)

「宮家邦彦の外交・安保カレンダー(2016年2月15-21日)」

今週気になるのは米国の東南アジア外交だ。オバマ大統領はASEAN(東南アジア諸国連合)加盟10か国首脳をカリフォルニアに招待し、15-16日に首脳会議を開くという。似たような話は昨年5月にもあった。GCC(湾岸協力会議)首脳が招待されたが、首脳が参加したのはクウェートとカタルだけ、確か、サウジ国王は欠席と記憶する。

当時はイラン核開発疑惑をめぐりサウジの対米国不信が高まっていた頃で、国王の欠席はサウジの不満表明ではないかとも噂された。真相は今も不明だが、国王の健康上の問題もあったかもしれない。それでは今回のASEAN首脳はどうだろう。オバマ大統領には南シナ海問題で中国を牽制する狙いがある、とも報じられている。

ホワイトハウスは「前例のない会議で、オバマ政権のアジア重視政策を前進させる」というが、GCCの場合と同様、米国のやり方は稚拙ではないか。ASEAN首脳は「十把一絡げ」の安易なサミットと受け取らないだろうか。米側は南シナ海での航行の自由を強調するだろうが、これでASEAN側が一つの方向に動き出すとは思えない。

〇アメリカ両大陸

2月9日のニューハンプシャー州予備選挙の結果は共和党主流派の淡い希望を打ち砕いた。フロリダ選出のルビオ上院議員が沈み、2月1日のアイオワ州党員集会で2位に甘んじたトランプ候補が予想以上に大勝したからだ。ルビオの敗因は経験不足もあるが、ブッシュ等他候補から集中攻撃を浴びたことが大きい。

この結果を見て共和党保守中道系主流派の面々は青ざめただろう。このままでは共和党は同士討ちで分裂しかねない。今回のトランプ大勝は、「トランプ候補は当面失速しそうもない」という、ヒラリー・クリントンが聞いたら泣いて喜ぶような分析を裏付けるものかもしれない。共和党の受難は今後も続くだろう。

〇欧州・ロシア

欧州は相変わらずテロ、難民、ユーロの三点セットの議論が続いているが、15日にはボスニアがEUに正式加盟申請を行う。EUの夢は今も消えてはいない。他方、19日にはトルコ、アゼルバイジャン、ジョージアの三国首脳が経済会議を計画している。トルコの動きはどこまで戦略的で、どこまでが場当たりなのか判らないが、要注意だ。

〇東アジア・大洋州

米国のあるサイトが自衛隊艦船のカンボジア訪問に注目していた。調べてみると、2月17-20日、外洋練習航海中の海上自衛隊護衛艦「あけぼの」と「やまゆき」、練習艦「はたかぜ」がシハヌークビル港に寄港するらしい。カンボジアといえばASEANの中で最も親中派の国の一つだが、練習航海とはいえ、海自も結構頑張っている。

〇中東・アフリカ

このところ中東で大きなニュースはないが、16日にイランの国防相がロシアを訪問する。イランとロシアといえば、シリアで共にアサド政権を支えているが、肝心のシリア和平会議には実質的進展がない。このタイミングでのイラン・ロシア両国軍関係者は何を話すのか。決して外には漏れないだろうが、非常に気になるところだ。

〇インド亜大陸

17日にパキスタンが、エジプト、インドネシア、イラン、マレーシア、ナイジェリア、トルコと貿易大臣会合を開く。それにしても面白い組み合わせではないか。これらのイスラム諸国は、BRICSほどではないが、それなりの規模の大きい国内経済を持っている。最近の国際経済の冷え込みの影響は決して小さくないはずだが・・・。

今週はこのくらいにしておこう。

いつものとおり、この続きはキヤノングローバル戦略研究所のウェブサイトに掲載する。

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この記事を書いた人
宮家邦彦立命館大学 客員教授/外交政策研究所代表

1978年東大法卒、外務省入省。カイロ、バグダッド、ワシントン、北京にて大使館勤務。本省では、外務大臣秘書官、中東第二課長、中東第一課長、日米安保条約課長、中東局参事官などを歴任。

2005年退職。株式会社エー、オー、アイ代表取締役社長に就任。同時にAOI外交政策研究所(現・株式会社外交政策研究所)を設立。

2006年立命館大学客員教授。

2006-2007年安倍内閣「公邸連絡調整官」として首相夫人を補佐。

2009年4月よりキヤノングローバル戦略研究所研究主幹(外交安保)

言語:英語、中国語、アラビア語。

特技:サックス、ベースギター。

趣味:バンド活動。

各種メディアで評論活動。

宮家邦彦

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