バヌアツ、観光巻き返し真っ最中
相川梨絵(フリーアナウンサー・バヌアツ共和国親善大使)
「相川梨絵のバヌアツ・ニュース」
バヌアツ共和国は、経済の4割が、観光または、その周辺産業によって成り立っている観光国です。毎年10万人が観光に訪れていました。
しかし、2015年のサイクロンPAM被害で、その20%が減少。さらに、今年になり、戻りつつある観光産業を揺るがす大きな出来事がありました。それは、国際空港の滑走路の老朽化。これにより、外国資本の主要航空会社がバヌアツ便を一斉に取りやめてしまったのです。その影響で、さらに20%の観光客が減ってしまいました。
特に、観光客の大きな割合を占めているオーストラリア、ニュージーランドからのフライトが、突然、飛ばなくなり、各所大混乱となりました。
実は、バヌアツの空港は、数年前から、再建プロジェクトがあがっていました。しかし、国の玄関となる空港。どの国がそのプロジェクトを請け負うかという問題で、決まっては立ち消えという状態が何度も続きました。政治家がプロジェクトを狙う国と繋がっているのではないかという疑惑、また、政権交代も激しいバヌアツなので、空港プロジェクトもいつの間にか立ち消えになってしまったようでした。
そんな矢先に、起きた出来事でした。観光国バヌアツにとって、早急の補修作業が必要です。結局、世界銀行にローンをお願いし、ニュージーランドの建設会社が第一次補修工事を請け負いました。
この一時補修は11週間で完了。
先日、その記念パーティーが空港で行われました。このパーティーは、ホテル、ツアー会社など、観光産業の人間が集まり、まさに決起集会。今後のバヌアツ観光促進をこの国にいるみんなでやっていこうというものでした。
補修完了した滑走路の写真を拡散し、FACEBOOKやHPなどで宣伝するように呼びかけたり、バヌアツの航空会社、エアーバヌアツが、集客の為に格安航空券を出しました。ニュージーランドからの片道99ドル(ニュージードル)、ニューカレドニア往復15000バツ(約15000円)など、どれも、破格の値段です。また、バヌアツへの直行便が出ているオーストラリア、ニュージーランド、ニューカレドニアで、5月6月の2ヶ月間、エアーバヌアツのCMを流すそうです。
今回の補修によって、フライトキャンセルした3社のうち、1社がバヌアツ便を再開する事が決まりました。それに加え、サイクロン後再開できずにいた、大型リゾート2つが5月、6月と続けてリニューアルオープンします。さらに、外資系リゾートも今年オープン予定です。
やっと見えてきた追い風。そして、空港補修工事第2弾がもうすでに始まっています。世界銀行からローン約65億円の滑走路の補修作業は、アジア(現在、中国が議題にあがっている)への直行便を見据えた大型の長距離便が乗り入れできるよう、大規模改造を計画しているそうです。
また、滑走路だけでなく、空港全体の再建、他の離島にある小さな国際空港も改装し、バヌアツの玄関として連携させる構想もあるようです。いまだ、主要航空会社2社は運行を再開していませんが、今が、バヌアツ踏ん張りどころであり、この機会に観光産業の復興と拡充に国中の大きな期待が集まっています。
*トップ写真:©バヌアツ観光局 新滑走路
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この記事を書いた人
相川梨絵フリーアナウンサー・バヌアツ親善大使
1977年6月10日生まれ。茨城県出身。2000年、共同テレビに入社し、フジテレビアナウンス室へ出向。フジテレビアナウンサーとして、主に情報番組、バラエティ番組などで活躍。2006年、フリーに。2012年、結婚を機にバヌアツへ移住、バヌアツ親善大使に任命される。