2017総選挙ファクトチェックプロジェクト
国際  投稿日:2016/11/13

突破口を求め苦悩する韓国の保守 その4

J161110park01
Pocket

朴斗鎮(コリア国際研究所所長)

(この記事は2016年11月7日に入稿したものです。)

3  保守層が目指す外交・安保路線継承と維持

韓国保守層は朴槿恵大統領と手を切ったとしても北朝鮮の核の脅威から韓国を守るために朴政権の外交・安保路線を継続させなければならないと考えている。

その中心課題は

1)開城工業団地閉鎖の継続

2)サード(THHAD : Terminal High Altitude Area Defense missile 高高度防衛ミサイル)配備の実行

3)韓日「慰安婦合意」の履行

である。

この3つの問題が継続できれば、韓国のダメージを最小限に食い止められると考えている。

1)開城工業団地閉鎖の継続

韓国の保守層は、開城工業団地の閉鎖継続が外交・安保政策の重要な内容と考えている。開城工業団地から北朝鮮に流れていた年1億ドルが止まることで、米国をはじめとした国際社会の北朝鮮への制裁効果が増しているからだ。また北朝鮮の核武装路線に対する韓国政府の毅然とした対応を示す上でも重要な意味をもっている。だからこそ韓国の従北勢力はこの措置を撤回させるために陰に陽に動いてきた。親北系のハンギョレ新聞も閉鎖には反対していた。

そうしたこともあってか、前述した韓国ハンギョレ新聞10月26日付けは、イ・ソンハン前ミル財団事務総長証言として 「(崔順実の)秘密の会合で取り上げたテーマと関連し、「約10%はミル、Kスポーツ財団と関連したものだったが、残りの90%は開城工業団地の閉鎖など、政府政策と関連したことがほとんどで、チェ・スンシル氏はこれを『朴槿恵大統領の関心事項』と表現した」と話したとの報道を行った。

だが開城工団閉鎖についてのハンギョレ新聞のこの報道については、報道があった当日に韓国統一省がすぐさま「政府の正当な手続きを経て決めたこと」と公式に否定した。

しかし最近ネットや一部マスコミの間で「嫌韓と北朝鮮擁護の代弁者」として指摘されている武貞秀士氏は、2016年11月4日の「ミヤネ屋」のコメントで、この韓国統一部の公式否定を無視して次のように答えている。

武貞秀士:とくに韓国がですね今回の件で一番大きなミスを犯したのは北朝鮮での関係ですね。先ほど表にもありましたけれども、開城工業団地が突然2月10日に操業をしばし停止するという発表を、このグループが決めて青瓦台の専門家が知らない間にドサーンと北朝鮮に厳しい措置を取ったわけです (注:断定)。

それで北朝鮮が怒ってしまって韓国企業は全部撤退してくれと完全に閉鎖されてしまった。南北関係がキズついてしまった(注:南北関係がキズついたのは北朝鮮の核武器開発とは言わない) (2016・11・4ミヤネ屋)。

武貞氏は「一番大きなミスを犯したのは北朝鮮での関係ですね」と朴政権の対北朝鮮政策をまず全否定した上で、「開城工業団地が突然2月10日に操業をしばし停止するという発表を、このグループが決めて青瓦台の専門家が知らない間にドサーンと北朝鮮に厳しい措置を取ったわけです」と事実と異なる解説を行った。しかしそうした事実はない。もちろん検察の捜査結果でもない。尾ヒレハヒレの典型的例である。

続けて彼は「それで北朝鮮が怒ってしまって韓国企業は全部撤退してくれと完全に閉鎖されてしまった。南北関係がキズついてしまった」と発言した。これは主客を転倒させた歪曲だ。この開城工業団地措置は、北朝鮮の4回目の核実験を受けて、実戦配備に近づいた核ミサイル開発資金遮断の一環として、国際社会の制裁に歩調を合わせて取った措置であり、北朝鮮が国連制裁決議に違反せず挑発も行わない中で取った措置ではない。

こうした武貞氏の「ミヤネ屋」での発言は、彼が事実をねじ曲げてでも北朝鮮を擁護しようとしている一例ではないだろうか。

                

その5に続く。その1その2その3。全5回)

Pocket

この記事を書いた人
朴斗鎮コリア国際研究所 所長

1941年大阪市生まれ。1966年朝鮮大学校政治経済学部卒業。朝鮮問題研究所所員を経て1968年より1975年まで朝鮮大学校政治経済学部教員。その後(株)ソフトバンクを経て、経営コンサルタントとなり、2006年から現職。デイリーNK顧問。朝鮮半島問題、在日朝鮮人問題を研究。テレビ、新聞、雑誌で言論活動。著書に『揺れる北朝鮮 金正恩のゆくえ』(花伝社)など。

朴斗鎮

copyright2014-"ABE,Inc. 2014 All rights reserved.No reproduction or republication without written permission."