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スポーツ  投稿日:2018/6/26

日本人サポーターのゴミ拾いに賞賛


Ulala(ライター・ブロガー)

フランス Ulala の視点」

【まとめ】

W杯日本人サポーターの清掃活動の輪が世界に広がっている。

ジャック元フランス文化大臣がパリ市長に東京の清潔さはお手本、とツイート。

日本人はフランスの清掃意識向上のきっかけになっている。

 

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されず、写真説明と出典のみ記されていることがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttp://japan-indepth.jp/?p=40634でお読み下さい。】

 ロシア・ワールドカップ(W杯)グループリーグ初戦でコロンビアと対戦した日本。アジア勢で初めて南米チームに勝利という思いがけないビックニュースに日本が沸いたが、そんな日本のサッカーの試合の傍らで他にも世界中で反響を呼んでいたことがあった。それは、日本人サポーターが試合の後、自らの手でスタンドのゴミ拾いをしている姿だ。日本のサポーターはみんなで掃除を始め、一列ずつ、一席ずつ、自ら持ち込んだゴミ袋を使って丁寧にゴミ拾いをしてたことが驚きの姿として紹介されたのだ。

サッカーの試合と言えば、欧米で通常みられるのは、勝利に喜ぶサポーターがゴミを投げ散らかし興奮してそのまま帰っていく姿。ゴミを拾っていくなんてありえない、日本人がゴミを拾う姿を見てどうしてそんなことをするのか理解できない人もいただろう。しかし、感銘を受ける人も多かった。日本人たちの姿を見ていたコロンビアのサポーターの中にも清掃活動を行う者が現れ、同じく強豪ポーランドを制したセネガルのサポーター、その後もウルグアイとサウジアラビアと次々と清掃活動の輪が広がっていったのだ。
こういったことを書くと、「また日本人は大げさに言って、日本を美化しているだけじゃないか」と言われるかもしれない。しかし、実際の話、日本人の清掃活動は高く評価されている。特に今回は、このワールドカップでの清掃の行動は、フランスのメディアでも注目された

 

セネガル 清掃

写真)ロシア・W杯試合終了後にゴミ拾いをするセネガルサポーター
出典)ちょんまげ隊

まず、日本人サポーターによる清掃活動がはじまったのは日本が初出場した1998年のフランス大会にさかのぼる。礼儀正しい姿を地元メディアが報道しており、すでにこの時点でフランスと縁があるとも言える。しかしながら、今回のワールドカップの清掃活動がフランスでさらに目を引く形となったのは、実は試合の2週間ほど前に、SNSやメディアで別な件が話題になっていたからだ。

話題になったのはジャック・ラング元フランス文化大臣ツイートであり、アンヌ・イダルゴ・パリ市長に向けた言葉だ。そのツイートが以下になる。

ジャックラング

写真)ジャック・ラング元フランス文化大臣

出典)photo by Guillaume Paumie

アンヌ・イダルゴ

写真)アンヌ・イダルゴ・パリ市長

出典)Anne HidalgoTwitter

親愛なる@Anne_Hidalgo、
東京から戻ってきました。あなたも何日かそこで過ごすべきです。清潔さのお手本となる町の一つだ。パリはそこからインスピレーションを得られるかもしれない。

△ジャック・ラング氏のツイート

パリに比べれば、犬の糞もゴミの落ちていない東京の街並みに、ジャック・ラング氏はよほど感銘を受けたのだろう。

パリ

写真)パリの街並み

出典)Flickr:鈴木宏一

しかし、イダルゴ・パリ市長はそのツイートには直接答えず、その代わり「みなさん、次の土曜日は、パリの大掃除の日ですよ。」とツイートした。

△イダルゴ・パリ市長のツイート

ジャック・ラング氏ももちろん承知のことだが、イダルゴ・パリ市長は就任した2014年から、パリの美化には大きく力を注いでいる。町の清掃職員の増員、3万個のゴミ箱を新たに設置、自動洗浄される野外のトイレを150カ所、24時間使えるように変更、12万5000個以上のポケット灰皿を配給など、ゴミの放置、犬の糞の持ち帰り、屋外での小便やタバコの投げ捨てなど、あらゆる点で対策を考え、街の美化を強化しているのだ。

それまでのパリは、犬の糞がそこら中にあり、尿臭い場所が多数あった。多くの観光客が訪れる街であるだけにこの点はよく指摘されていたのだ。しかし、イダルゴ・パリ市長が美化に力を入れるようになってきてから、一部はまだ問題があるところもあるにはあるが、大部分のパリが以前よりきれいになってきている。ニュースでも町をきれいにするための取り組みなども紹介されるようになってきた。

また、2017年9月からは市民による大掃除の日が設定され、清掃職員だけではなく市民自身が清掃することで日ごろから汚さないように心がける啓蒙活動も行われている。ジャック・ラング氏に東京に滞在してみるべきだと言われたイダルゴ・パリ市長だが、言われるまでもなく、既に2017年2月に日本を訪れており、日本滞在後にパリの清掃運動が始まったことを考えると、パリの大掃除の日のことをツイートして返答したのは、もしかすると「すでに東京からインスピレーションを受けて、実行していますよ」と言いたかったのかもしれない。

6月9日のパリ大掃除の日に、50の地域で掃除をするパリ市民たちの姿が映っているツイートでは、イダルゴ・パリ市長をはじめ、清掃職員に教わりながら清掃するパリの子供たちの姿も見てとれるだろう。

子供

写真)町を清掃する子供たち

出典)以下

△イダルゴ・パリ市長のツイート

パリと日本人の清掃活動の関係はこれだけではない。10年ほど前から日本人のボランティアにより、パリの清掃が行われている。ジャック・ラング氏のツイートを受けて書かれたパリジャンの記事では、税金を払っているのだからと言う理由で他人にさせるのではなく、自らが清掃する日本人のメンタリティーの説明が詳細に書かれている。

「東京はパリより清潔?メンタリティーと言う問い」(Le Parisian

ワールドカップでの日本人サポーターの記事や、パリジャンのこの記事を見る限り、日本人はフランスの清掃意識向上のきっかけになっていると言えるのではないだろうか。それがたとえ一部の人にだけであったとしても、なんらかのインパクトを与えていることは間違いないだろう。

 

*トップ写真)ロシア・W杯試合終了後にゴミ拾いをするセネガルサポーター
出典)ちょんまげ隊

 

 


この記事を書いた人
Ulalaライター・ブロガー

日本では大手メーカーでエンジニアとして勤務後、フランスに渡り、パリでWEB関係でプログラマー、システム管理者として勤務。現在は二人の子育ての傍ら、ブログの運営、著述家として活動中。ほとんど日本人がいない町で、フランス人社会にどっぷり入って生活している体験をふまえたフランスの生活、子育て、教育に関することを中心に書いてます。

Ulala

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