[山田厚俊]<知ってますか?二種類の養子縁組>少子化対策としての「新しい家族関係」の築き方
山田厚俊(ジャーナリスト)
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「特別養子縁組」という言葉をご存知だろうか。
実は、養子縁組には「普通養子縁組」と「特別」の2種類がある。
- 「普通養子縁組」は、子ども側が実親との親子関係を存続したまま、養親との親子関係をつくるという二重の親子関係となる縁組のこと。
- 「特別養子縁組」は、子ども側が戸籍上も実親との親子関係を断ち切り、養親が養子を実子と同じ扱いにする縁組のことをいう。
養子に2種類あることを知っている人は少ないだろうし、そもそも日本では養子について社会の理解度が乏しい。そんな現状を憂いて、「特別養子縁組」についての理解を深めようというシンポジウムが4月4日、東京・赤坂の日本財団で開かれた。
この制度を最初に始めたのが、愛知県の児童福祉相談所に勤務していた矢満田篤二氏。子どもを産んでも育てられない側と、不妊治療などを続けながらも子どもを授からない夫婦、さらに生まれてくる子どもの三者がウィンウィンの関係を築けるとして、その“仲介”を始めたのだという。
シンポジウムには、矢満田氏のほか、日本赤ちゃん学会理事長の小西行郎氏、首都大学東京教授の宮台真司氏、タイガーマスク基金代表理事の安藤哲也氏、誕生学協会代表理事の大葉ナナコ氏など7氏がパネリストとして参加。
また、今後の立法を見据え、自民党からは塩崎恭久・政調会長代理、結いの党からは椎名毅衆院議員が挨拶をした。超党派的に、与野党から議員が来場したのは喜ばしいことだが、一方で議員の参加が少ないことに物足りなさと残念さを感じた。
少子化対策が急務といわれ久しいが、その具体策はなかなか見えてこない。冗談でも、保育所を増やせばいいとは言えないのだ。そのようななか、「特別養子縁組」のような“新しい家族の関係”を築くこと、社会でもっと受け入れることが大切なはずだ。本来なら、少子化担当相が挨拶するくらいの問題意識を持ってほしい。そう願わずにはいられない。
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