[磯村かのん]<バカンスは全裸で>ビーチもショッピングもレストランもフルヌード !世界最大のヌード・リゾート、南仏キャプ・ダグド
磯村かのん(ライター・通訳・起業家)
今回はハワイやタイなど普通のビーチに飽きてしまった方にお勧めのリゾートをご紹介します。南仏のエロー県・アグドにあるキャプ・ダグド (Le Cap d’Agde) はクリスタルのように透き通った地中海と新鮮なシーフードが有名なだけではなく、世界中から裸体主義者が集まるという風変わりなリゾートです。
約70年の歴史がある世界最大の裸リゾート、キャプ・ダグドでは、人々はトップレスではなくて全裸!フランス人は水着の日焼跡が付くことを嫌うので、海水浴といえばトップレスが当たり前で、全裸で海水浴をするヌーディスト・ビーチも多数ありますが、キャプ・ダグドはビーチだけでなく、キャンプ場、4つ星ホテル、レストラン、バー、クラブ、スーパーマーケットなどの公共施設を利用したり、サイクリングやテニスなどのスポーツや散歩をしたりすることも衣服をつけない状態で行うことができます。
裸体主義というとなんだか恥ずかしい感じや、露出狂のような変態を連想させますが、英語でナチュリストまたはヌーディストと呼ばれる裸体主義者は、生まれたままの姿で自然と一体になり心身共に解放される事や、自分の肉体に敬意を払い自分自身を受け入れる事などを目的としていて、フランスだけではなくスペイン、ドイツ、デンマーク、フィンランドなど欧州の他国にも似たような場所があります。日本でも混浴の温泉は存在しますし、江戸時代までは混浴が当たり前だったので、実はそんなに変わった行為ではないのです。
しかし、過去20年間でキャプ・ダグドの裸体主義は変わりつつあります。現在ではスウィンガーと呼ばれる、スワッピングやグループセックス愛好家が増えていて、毎年約一万組のカップルがスワッピングを目的として訪れる世界一のスウィンガー・リゾートとなりつつあるのです。スウィンガーは自然と一体になることを目的とする裸体主義者と異なり、享楽主義や視野を広げるといった目的が多いようです。
スウィンガー人口が増加している背景として、過去20年間で女性の貞操観念が変わってきていることがあげられます。男性が娼婦を買ったり、愛人をつくったりする話はよく聞きますが、そのような行為をする女性は少数派です。しかし、スウィンガー・イベントなら女性も気楽に参加できるといいます。原則として男性は自分の希望を口頭で女性に説明し、女性が承諾しない限り実行できません。また、スウィンガー・イベントはセキュリティー・スタッフがいるので女性一人でも安心して参加できます。
スワッピングは各カップルでルールを決めて行うので、マンネリ化する夜にスパイスを与えたり、浮気ではないのでお互いに罪悪感を持たないで済むなどの理由で人気があるようです。 また、キャプ・ダグドでは様々な性的趣向に合わせたイベントが多数用意されているので、同じ趣味の知り合いをつくったり、そんな人々を観察したりと一人でもカップルでも楽しめるようになっています。ビーチを歩くだけでも相当な刺激だそうです。
日本では男性向けの夜のエンターテイメントが世界に類を見ないほど発達していますが、女性向けのものは殆どありません。女性の社会進出が目覚ましい現代、ホストクラブ以外に、女性も楽しめる夜のエンターテイメントが誕生するかもしれません。
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