.社会 投稿日:2014/7/10
[為末大]想像できる範囲の中で「成功」があり「失敗」があり「勝利」があり「敗北」がある
為末大(スポーツコメンテーター・(株)R.project取締役)
「出来ない事は無う」という言葉は深い言葉なのだろうと思うけれど、僕は付け足した方がいい言葉があると思う。それは<想像できる範囲で>「出来ない事は無い。もっと言えば「あまりにも出来ない事」を私達は想像もできない。
「夢は100mを人力だけで3秒で走る事です」という夢を抱く人は少ない。太陽に着地する事を夢に抱く人も少ない。突拍子もない夢だと言われるものも、本当に引いてみれば常識の範囲でしかなく、想像もできない事を私達は未だ知らない。
たぶん自分の能力とか世間の常識などから「飛んでしまった所」で発想できる人もいるのだろうけど、大方の人にはそれは難しいのではないか。税理士になる夢を叶えた人が「夢は必ず叶う」と、100mの金メダルを目指す子に言う。
僕が想像している世界は、一体どのくらい狭くて、どのくらい思い込んでいて、どのくらい囚われているのか。時々そんな事を考えて途方に暮れる。僕は精一杯夢を描いてそれを実現しようとしてきた、僕の想像できる範囲で。
想像できる範囲の中で、成功があり失敗があり、勝利があり敗北がある。未だ想像の外の世界を知らずに生きる僕。
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