[山田厚俊]<滋賀県知事選で民主党・三日月氏が当選>滋賀県民は自民党にノー。安倍政権の横暴にストップかける
山田厚俊(ジャーナリスト)
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ようやく有権者も地方政治、地方自治に目を向けるようになったのではないか。
滋賀県知事選が7月13日に投開票され、前・民主党衆院議員の三日月大造氏が、元経済産業省のキャリア官僚、小鑓隆史氏(自民、公明推薦)、共産党県常任委員の坪田五久男氏(共産推薦)を破り、初当選したことを受けての感想だ。
投票率は50.15%。小鑓陣営ではこんな声が漏れた。
「40%台半ばと見ていた。まさか50%を超えるとは・・・」
この選挙結果は、多くの“無党派層”が自分の意思で投票行動に及んだと言っていい。これまでの無党派層は、“風頼み”といわれていた。美人やイケメン、また、キャッチな見出しがつく候補に乗ったりした。民主党政権崩壊で、有権者はそんなマスコミの“さじ加減”に安易に乗らなくなった。まずは「民主党ノー」を最初の選択肢にしていたのだ。
今回の滋賀県知事選で、三日月氏当選、小鑓氏敗北の最大の要因は、集団的自衛権の憲法解釈容認の閣議決定とされている。国民への説明不足は、そのまま政権の横暴と映り、滋賀県民は自民党にノーを突きつけたのだ。
元々、滋賀県は民主王国と呼ばれる土地柄で、自民党はこれまでも苦戦を強いられてきた。しかし、1カ月前までは優位に進めておきながら、ほんの10日間ほどでひっくり返されたのだから、地方の自民党からは国政への不満が今後噴出していくだろう。
もっといえば、有権者の見方が変わってきたと思える。端的に言えば、兵庫県の野々村竜太郎元議員の件を滋賀の有権者はどう見たのかということだ。地元の政治や行政に関心を寄せずにいたら、世界中に恥を発信される騒ぎになった。こんなことではいけないという危機感が投票行動を後押ししたのではないだろうか。
その上で、何が決め手になるのか。今回は安倍政権の横暴にストップをかけたというに読めるのだ。11月には沖縄知事選、福島知事選が行われる。しばらくの間、地方の首長選から目が離せない。
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