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.社会  投稿日:2014/10/12

[Japan In-depth編集部(aya)]【動物・年16万匹を殺す日本】~ゼロに向けた動き、政治にも~


Japan In-depth 編集部

年間約16万頭もの犬や猫が殺処分されている国、日本。この数字を一刻も早くゼロに近づけようと、様々な団体が活動している。女優の浅田美代子さんら多くの著名人によって立ち上げられたNPO「TOKYO ZEROキャンペーン」、滝川クリステルさんの財団「クリステル・ヴィ・アンサンブル」などである。そうした中、音楽を通して殺処分ゼロに取り組む団体のチャリティーライブが8月末に行われた。

チャリティーライブ「WE’RE ALL FRIENDS」の仕掛け人であるポップスユニット「バジル」は、CDやグッズの売り上げを一部動物愛護団体に寄付するなどの活動している。今回のライブで集まった寄付金額は滝川クリステルさんの財団に全額寄付され、資金的に苦しい民間シェルターの運営資金に回される。

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〈左:シンガーソングライター 川瀬葉月さん/右:ポップスユニット「basil(バジル)」ボーカルShinoさん〉

 

問題の根は深い。飼い主による遺棄・虐待、里親を装った詐欺、繁殖業者・ペットショップによる遺棄、等々。寄付金を集めるだけではなく、このような現状を多くの人に知ってもらうこともこうしたイベントの大きな意義だ。

ライブの他、保護犬をテーマにしたショートムービーの上映、そして都議会議員塩村文夏さんのトークショーも行われた。塩村都議は動物愛護に力を入れており、殺処分ゼロを掲げて都議会に当選した。トークイベントの中で、塩村氏は、民間で仕事をしていた時、街で里親募集の張り紙を見て、猫を引き取った経験があるとのエピソードを披露。その際、「引き取られなかった他の子たちはどうなってしまうんだろう」という思いを持ったことがきっかけで、動物愛護活動を始めたという。

都の取り組みで殺処分数は年々減ってはいるが、行政の努力というよりは民間の団体に引き取ってもらっていることによる成果という側面が大きいという。塩村氏は「生体小売業の規制に入らないことには、悪徳ブリーダーは減らない」と主張する。しかし、志を同じくして声をあげる議員は今の議会にはいないことが問題だと述べた。
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<左:JID編集長安倍宏行/右:東京都議会議員塩村文夏さん>

 

動物愛護の問題を取り上げれば、誰もが「かわいそう」「何とかしなくては」と同意するが、それ以上先に動こうとはしない。世論が動かなければ行政を動かすことは難しい。だからこそ、イベントや芸能人によるキャンペーンで多くの人に現状を知らせることが大切だと感じる。

一方、政治の動きも具体化して来た。8月末には、超党派で犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟 (略称 はっぴぃ0ゼロ議連)設立準備会が行われた。開会中の臨時国会で正式に発足する予定だ。

しかし、殺処分ゼロの実現はそう簡単ではない。様々な利害が複雑に絡み合っている現状の下、どのようなアプローチが最も効果的なのか、官民政が一体となって取り組まなければ、東京オリンピック開催の2020年までに目に見える成果は得られないだろう。

 

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